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全て1
※稜さん目線(三人称に戻ります)
※高校生のときのはなし。
※番外編はこれで最後(にする予定)
何かリクエスト等あれば書く……かも。
※腐男子出てきます。注意。
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「す、好きです……あたしと、つき合ってください……!」
高校生、二年目の夏。
どれだけ断っても、冷たく振ってもめげずに告白してくる強心臓の持ち主が相変わらず多すぎる。
仮面を被ったように無感情、無表情な稜の顔には、どこか冷めきったようなものがあった。
彼の心を惹きつけて離さない人間が、とっくにいるというのに。
「今、彼女はいらない」
「っ……」
目を合わさずに、棄てるようにそう言うと傷ついたように目を潤ませている。
一体、これからの人生で何十回この表情を見なければいけないのだろうか。
そう考えるとゾッとする。
顔も知らない一年生。顔は大してかわいい部類とは言えない女子が、どうしてオーケーを貰えると思ったのか不思議でたまらない。
自分に自信でもあるのか、どうなのか。
ここにいる意味は、もうない。
そう思い、元来た道を引き返そうとすると、右腕を掴まれた。
舌打ちをしそうになり、自身の手で口を慌てて覆う。
「他に好きな人がいるんですか……?」
「……それがあんたに関係あんの」
割と冷たく言い放ったつもりなのに、諦めずにぐっと稜の顔を見つめてくる。
──ああ、鬱陶しい。
時折、自分のこの顔が忌々しいほどにムカつく。稜だって、告白をされたくてこんな顔になったわけではないのに。
はあ、と深いため息を吐く。
これは意図したものではなく自然と出てしまったものだが、一年生はそれにびくっと肩を震わせ離れていった。
今度こそ、制服のポケットに手を入れ歩いていく。
そんな稜の姿は、高校生だというのに成熟した男性のような色気で溢れていた。
なにも、稜が人を魅了してしまうのは整いすぎた顔の所為だけではない。
(……橙里 だったら、こういう時どう対応するのだろう)
きっと、優しく傷つけないように振るのだろうな。
相も変わらず無表情なその顔で、幼なじみでもあり想い人の橙里のことを考えているとは、誰が解るのだろうか。
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