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嵐の前の静けさ 3
「広彰、着いたよ。」
「ん〜…。」
道中、ふらつきながらも自分の足で歩いてきた広彰だったが、玄関に入ると同時に力尽きたかのように、俺に抱きつく形で倒れてきた。
「わっ、ちょ、ちょっと待って。まだ玄関だから。うわっ、重い…!」
「うーん…。」
受け止めきれず、2人して廊下にばたりと倒れ、俺は広彰の腕の中にすっぽりと収まった。不意に、じんわりと汗を掻いた身体から、ふわりと雄のにおいがして。どきりとした気持ちを掻き消すように、思いっきり覆い被さる身体を押し叩いた。
「ほらっ、もうちょっとだから頑張って。」
靴を脱がせ、肩を貸して寝室まで引きずるように連れて行く。辛うじてまだ自分の足で歩いてくれてはいるが、逞しい腕を肩に回されるだけで重い。こんな時、同じ男なのにとふと悲しくもなったりする。
なんとかベッドまで辿り着くと、広彰は今度こそと言わんばかりに体の力を抜いてゴロンと寝転がった。ああ、これはこのまま寝るつもりだな…。
「お風呂は?」
「…いい。」
「分かった。じゃあ俺先に入るね。そのまま寝ていいけど、その前に取り敢えずお水飲んで。持ってくるから。」
「……おー…。」
*
「え、うそ。」
パタパタと急いで台所から水を持ってきたのだが、その一瞬の間に広彰は眠ってしまっていた。はぁ、とため息をつきつつ、毛布を掛けてやり俺は風呂場に向かった。
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