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青天の霹靂 4
…
……
………
ゆっくりと開いていく視界。真っ暗な中で何度か重い瞬きをして目を凝らしてみても、景色は見えなかった。
「……ぁ、れ……。」
なんだこれ…。
苦しいし、寒い…。
吐いた息が白む。
「いっ……、ぅ……。」
身動きをとろうとしても体が動かない。かろうじて少しだけ動く上半身を捻って後ろを見れば、足が瓦礫の下敷きになっていた。
逃げ損ねてしまったのか…。慣れてきた目で見渡しても辺りは瓦礫しか見えなくて、ここがボロアパートだったにしても、これは相当大きな地震だったのだろう。
必死に足を抜こうと試みるが一向に足は動かない。底冷えの寒さで体にうまく力が入らず、加えて瓦礫の圧迫で足の感覚があまり無くなっていて。
自力での脱出はもう無理だろうと思った。
ふと頭によぎる広彰の顔。
広彰は大丈夫かな。俺、このまま死ぬのかな…。最後に広彰に会いたかったなぁ…。
そんな事を考えていると、ちらりと光が動いたのが見えて、顔を上げた。
『おーい!誰かおらんかー!!大丈夫かー!!』
どこからか声が聞こえる。
助けて!!
「……ぁ……け、て……」
声を出してみて初めて分かった。声がまともに出ない。瓦礫に挟まれているからなのか。
必死に腕を伸ばす。
『こっちや!!来てくれ!妻がこの下に…!!』
『今行く!!どこや!暗いのと瓦礫で見えんからそのまま声出しとってくれ!!声辿(たど)ってそっち行く!!』
『分かった!!』
そんな声が聞こえて、見えなくなった光。遠のいて行く足音。
伸ばした腕が脱落した。
寒い。
痛い。
苦しい。
誰か…、助けて…。
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