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青天の霹靂 5
暫くすると徐々に人の声がちらほらと聞こえ始める。
皆、俺と同じように瓦礫に埋もれている人を救助しているようだ。しかし、相変わらず俺の存在に気付く人はいない。それもそのはず、俺の住んでいたアパートは寂(さび)れた商店街の路地裏のような所の更に奥にあり、そもそもこの辺りに住んでいる人は少ない。それに、倒壊が激しくてこちらまで来ることが出来ないのかもしれない。
商店街の本通りの方からだろう。近くから声は聞こえるのに…。
ドンッ────。
『何や!?』
大きな爆発音が聞こえて、辺りは騒然となる。
『おいっ!みんな!!火事や!商店街の入口の居酒屋から火出よった…!』
『消防車は!?』
『こんだけの倒壊や…っ、道走れんやろ、………無理や…。』
『そんなんっ…、くそっ!俺らが何したって言うねん……。』
『今は…!!とにかく救助先や…。ここら一体は木造密集しとる…、あっという間に火が回る。せやから、その前に皆んな助けるで!!悩むん後でや!!』
『わ、分かった!おーい!誰かおらんかーー!!』
『こっち来て!子どもが…!』
『今行く!』
それからも、少しずつ人が増えて救助し合う声が聞こえる。俺は出来るだけ見つけてもらえるように、力の入らない手を懸命に動かし、目の前にある瓦礫を少しでも除けようともがいた。
するとまた爆発音が聞こえて。
ゴオォ…───
今度は逆方向から火の上がる音が響いた。
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