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青天の霹靂 7

鮮明にそんな声が聞こえてきて、朦朧としかけていた意識が戻った。そして、精一杯に声を出した。 「動け、ないんです。瓦礫が…」 やはりあまり声は出ない。それでも、男の人はちゃんと俺の声を拾ってくれて。 「おい!ちょっと待ってくれ!兄ちゃん瓦礫で足挟まれて動けんみたいや、血もでとる…手伝ってくれ!」 避難しようと近くを走っていた人を呼び止めてくれた。 「よし、分かった、のけるで!!せーのっ!!」 2人が3人に、3人が4人に…どんどん俺を助けてくれる人は増えていった。自分たちの命も危ないのに皆んなが必死になってくれている。それでも俺の上に乗る瓦礫はびくともしない。 「もう一回や、せーのっ!」 ドンッ───! バチバチバチッ───… もう一度瓦礫に手をかけたのとほぼ同時に、後ろの方から爆発音がして、熱と煙が先程よりも濃くなった。その場にいる全員が一気に咳き込む。痛いほど熱くて、すぐそこまで火が迫っている事は明白だった。 “お前ら!なにやっとんねん!もう火に囲まれよるぞ!!早よこい!!” 必死の声が遠くから聞こえてくる。男の人たちは一瞬声のした方を振り返り、すぐに俺の顔をみた。 「あかん!まだやっ、もう一回や!」 「せーのっ!!」 ゴォォォォォオ───… “ほんまに死ぬぞっ───!” 大きく響く声。火が燃える音や、サイレンや人の声なんかが、一斉に止んだかのように。静かな中に反響するように。その声はここにいた全員にはっきりと届いた。 「…………あかん、もう無理や…」 「兄ちゃん…ごめん、ほんまごめんな…許してくれ…」 泣きそうな顔をしながら、頭を下げて1人…また1人とその場を立ち去って行く。 そして最後に残った男の人は、持っていた水の入ったペットボトルを俺の手に握らせた。 「兄ちゃんこれ…、喉渇くやろ、熱いやろ…、これっ、……持っとき…っ、ごめんっ…ごめんなっ……」 ポタリとその人から落ちてきた涙は、俺の手のひらに落ちて、熱で乾く頃にはもう辺りには誰もいなかった────。

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