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途端の苦しみ 2

悲劇はこれで終わりじゃなかった。 その日の夕方の事だった。 電気の点かない病室はどんよりと薄暗い。一点だけを見つめぼうとしていると、ゆっくりとカーテンが開いた。 「倫太…。……っ、どうしたの…?」 うつむいたままの倫太。表情がよく伺えないが、その雰囲気にただならぬものを感じる。 「……………って、」 「な、なに…。」 ぼそり、と発された言葉は聞き取れない。聞き返すと、倫太は勢いよく顔を上げて。青ざめた表情と目が合った。 「“お前は”絶対生きろって…。」 ぽつりと呟かれた言葉。 「…どう言う、こと、」 声が震える。全身から体温がなくなっていくような感覚がして。 「広彰が、お前は絶対生きて幸せになれって…!」 「ひ、ひろあきは…?」 「あいつはッ…、」 「や、やだっ…、聞きたくない…!」 怖い。 やめて。 「あいつは…、死んだ…。」 しん…、と部屋が静まり返る。 何言ってるの…? 「う、嘘だ…。」 「子どもの救助作業中に火事なって、真っ先に火の中飛び込んでった…。子ども助けて戻ってったのにっ…、生きとったのに…!その後に急に具合悪なって、一酸化炭素中毒でっ…。」 「どうしてそんな事言うの…?」 「たすく…」 「信じない!!」 「たすく」 「広彰が死ぬわけない!!」 「佑!」 「出てけ…倫太なんかキライだ…。」

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