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第3話
ぬるぬるの孔から覗くローターを見ながら、住吉は尋ねた。
「なんでこんなモノ、挿れてるんですか?」
掴んでいる奥さんの尻たぶをこね回すと、半分出かけていたローターが中へと戻ってゆき、奥さんが甘い喘ぎを漏らした。
「ああっ」
「奥さん、答えてくださいよ」
「あっ、……お、夫の、言いつけで……」
奥さんの勃起した性器が下から小さな布地を持ち上げていて、ウエスト部分に挟まっていたリモコンが落ちそうになる。
住吉はそれを手に取り、つまみを強の方へと動かした。
ブブブブブ……と振動音が強くなり、奥さんの腰がビクビクと揺れる。
「ひっ、あっ、つ、強いっ」
「部長に、なんて言われてたんですか?」
「え……、あっ、お、夫には、あっ、帰って来たら、だ、抱いて、あげるから、ひんっ、あっ、と、止めてっ」
「奥さん、早く答えてください」
「ああっ……だ、抱いてやるから、あぅっ、じ、自分で、準備して、こ、これを挿れて、あっ、ま、待ってろ、って……」
「へぇ……部長にこんな趣味があったなんて、意外だなぁ」
芦屋はいつも清潔で上品な身なりでスーツをパリっと着こなし、同じ男の目から見ても格好いい上司だったので、妻にこんな卑猥なことをさせている、という一面があることを知り、住吉は、あの芦屋も家に戻ればただの男なのだなと思った。
住吉はローターの振動を一度弱める。
奥さんがホッと背中からちからを抜くのがわかった。
その、脱力した瞬間を狙って。
マックスのところまで一気につまみを動かす。
「ひぃっ」
悲鳴とともに、奥さんの背中が弓なりに反らされた。
二回りほど大きなサイズのTシャツの中で体が泳いでいるのが、いやらしかった。
住吉は奥さんの白い尻を、揉みくちゃにする。
すると、中でローターが動くのか、ビク、ビク、と奥さんが痙攣した。
奥さんの膝ががくがくと揺れている。
Tバックからはみ出している双玉がぐっとせり上がった。
もうイきそうなのだ。
住吉は目の前で淫猥に動くその尻の狭間に、右手の指を滑らせた。
ぬるつく後孔。
そこに、ぬちゅ……と中指を挿入する。
奥さんがハッとしたように顔を振り向け、眉根を寄せた色っぽい表情で、首を横に振った。
やめてください。
唇が、曖昧にそう動く。
しかし住吉はそれに構わず、中で動くローターを指の先で捉え、それを、奥さんの腹側の……前立腺に向けて、ぎゅうっと押し当てた。
「んんんんーっ!!」
唇を噛みしめた奥さんの体が、大きく跳ねた。
ビクン、ビクン、と腰を前に突き出す動きで、絶頂を味わっている。
指を挿入している孔が強いちからで収縮し、思いきり締め付けてきた。
うねるその内部の動きに、住吉の喉がごくりと鳴る。
これは……この孔の動きは……己のペニスを挿入すれば、ものすごく気持ちいいんじゃないだろうか……。
住吉の中で欲望が膨らんでゆく。
言い訳をさせてもらえれば、住吉も酔っていた。
泥酔し眠っている芦屋ほどではないが……素面の状態なら、上司の妻にこんな真似はしない。
ぬぷ……とローションの糸を引いて、住吉は指を引き抜いた。
奥さんががくりと膝を折り、ローテーブルに上体を預ける形ではぁはぁと呼気を乱している。
その腰を、ぐいと持ち上げて高く上げさせ、住吉は囁いた。
「奥さん。中のローター、自分で出してください」
「え……?」
「手を使わずに、出してください。じゃないと、このままですよ?」
「そ、そんな……」
「ぐずぐずしてたら、また振動を強くしますけど、いいですか?」
「ま、待って……待ってください……」
奥さんはテーブルに肘をつき、尻を突き出した四つん這いのような姿勢になると、
「んん……」
と腹にちからを入れた。
楕円形のピンクローターが、徐々に奥さんの孔から出てくる。
産卵のようだな、と住吉は思った。
一番膨らんだ真ん中の部分まで出すと、あとはちゅるんと滑って、ローターがラグの上に落下した。
住吉はスイッチをオフにしたリモコンを、同じようにラグの上に落とし、奥さんの尻を掴んだ。
ローターの抜けた孔は、一瞬ぽかりと開いていたが、徐々に窄まってゆき、慎ましく閉じた。
しかし襞の部分はいやらしく濡れており、内部の蕩け具合を連想させた。
ぬちゅ……と指を一本ねじ込むと、奥さんが小さな悲鳴を上げた。
根元まで挿し込んだ指を、鉤型に軽く曲げながら、ちゅぽんと引き抜く。
途中、前立腺を擦ったのか、奥さんの体がひくんと反応した。
指を抜いた孔が、完全に閉じきる前に。
住吉はまた、指を挿れた。
挿れて、出す。
ぬちゅ、くちゅ、と淫猥な水音をたてながら、その動作を繰り返した。
ビク、ビク、と住吉の動きに合わせて肩を跳ねさせる奥さんの呼吸が、熱く乱れてきた。
「部長に抱かれる気だったのに、あいにく、部長は熟睡しちゃってますもんね」
「ひっ……あ、あ、あ……」
「奥さん、いやらしい体持て余しちゃって、大変ですね」
指を二本に増やした。
太さを増した挿入感に、奥さんの背が震えた。
ぐぷ、ぐぷ、と肉筒に侵入する度に、前立腺を擦る。
挿れて出すだけの単調な動きに我慢が出来なくなったのか、とうとう奥さんの腰が揺れ出した。
「じゃあ俺、そろそろお暇しようかなぁ……」
「あっ、そ、そんなっ」
狼狽した様子で、奥さんがこちらを振り向く。
悩ましく寄せられた眉根と、色づいた目元がセクシーだった。
「あれ? 俺が帰るとなにかマズイですか?」
住吉は素知らぬ顔で、ぬちゅりと孔を弄った。
奥さんの唇が、逡巡するように動いて……。
「い、挿れてください……」
と、懇願してきた。
「挿れてるじゃないですか。いま。二本も」
言いながら、もう一度抜き挿しをする。
ああ……と奥さんの口から吐息のような声が漏れた。
「ゆ、指ではなくて……」
「指じゃなくて、なにが欲しいんです?」
「……ふ、太くて硬い……ペニスが、欲しいです……」
奥さんの言葉に、住吉は笑った。
これは完全に、芦屋が悪い。
こんなにきれいで淫らな奥さんをほったらかしにして、ぐぅぐぅ寝ている芦屋が悪い。
奥さんから誘ってきたのだから、住吉は悪くない。
そんな考えが、アルコールに思考を鈍らされている住吉の気を、大きくした。
「いいですよ」
住吉はソファから立ち上がり、ローテーブルの上の奥さんの手を掴んだ。
そのまま、スラックスの下でいきりたっている膨らんだ股間へと、奥さんの手を導いた。
奥さんがごくりと喉を鳴らした。
住吉がその手を解放しても、奥さんの指は住吉のそこから去らなかった。
奥さんが、スラックスのファスナーを下ろし、その袷の部分に指を潜り込ませた。
ごそり……と動いたその手が、住吉の肉棒を掴みだす。
ぶるん、と勃起した欲望が、飛び出した。
奥さんが目を細め、猛ったそれをうっとりと見てきた。
住吉は鈴口の部分を奥さんの唇へと擦り付ける。
するとそこが従順に開いて、熱い口腔内へと導かれた。
幹の部分に舌を這わせ、奥さんが積極的にフェラチオを始める。
その、やわらかな髪の後頭部に手を這わせて。
住吉は囁いた。
「部長の前で、これをブチ込んであげますね」
夢中で口淫していた奥さんが、目を丸くして住吉を見上げた。
住吉はその喉奥に、己の巨竿を突き立てたのだった……。
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