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第7話

「別に気にしてないぞ。機嫌の悪いときは誰にだってあるからな」 「…そうか。すまなかった」 「だから気にしてないって。それより買い物には行けたのか?」 「ああ。おかげさまでな」 「別に俺は何もしてないけれどな」 「譲ってくれただろう?」 「いや、先に約束してたのは相羽の方だったんだし」 それに生BL探索もしたかったしな、とは心の中だけで付け足しておく。 「あいつ本当に忘れっぽいから困る」 「昔から忘れっぽいのか?」 「そうだな。よく宿題とか忘れて来て、写させてやってた」 「はは、そうなのか。でもちょっと羨ましいな」 「忘れっぽいのがか?」 「違う、違う。幼馴染が、だよ。俺にはいないから」 「…そんなにいいものでもないぞ。幼馴染なんて」 「え?」 相羽の言葉に俺が首を傾げた時だった。 「あ、いた!高松君!」 「はい?」 突然名前を呼ぶ声が聞こえて俺は立ち止まる。 呼ばれたほうを見てみると、そこに立っていたのは。 「日比谷先輩」 そう、昨日俺が助けた日比谷先輩が校門のところで立っていて俺に向かって手を振っていた。 そのままこちらへと駆け寄ってくると日比谷先輩は笑顔で口を開く。 「おはよう、高松君。相羽君も一緒だったんだね」 「え?」 「おはようございます。日比谷先輩」 日比谷先輩の言葉に相羽は頭を下げて挨拶する。 この二人知り合いだったのか? 不思議に思ったのが顔に出たのか、相羽が説明してくれた。 「日比谷先輩とは中学の時部活が一緒だったんだ。吹奏楽部」 「こっちでも入るんだろう?」 「そのつもりです。というより、俺としては二人が知り合いだったことが驚きだな」 「知り合いって言っても昨日会ったばかりだけれどね?」 「ああ。昨日先輩が倒れたところに通りがかって保健室まで運んだんだよ」 俺が説明すると、相羽が軽く目を見開く。 「先輩、また無茶したんですか?」 「また?」 「ああ、うん。僕、昔から少し体が弱くてね。熱だして倒れることが何回かあったんだよ」 「え!?それって、大丈夫なんですか?」 「大丈夫だよ。病気ってわけじゃないから普通の人と同じに過ごしてても平気だし。昨日も病院で点滴して貰ったらすぐに元気になったから。それに、昨日倒れたのも本当に久しぶりの事だったんだよ」 「それなら、いいですけれど。無理はしないでくださいね」 「うん。有り難う、相羽君。それと高松君も、昨日はちゃんとお礼を言えなかったから助けてくれて本当に有り難うって言いたくて待っていたんだ」 「いえ、困っている人を助けるのは当然ですから」 本当なら俺じゃなくて、イケメンが颯爽と現れて助けるとかいう展開が見たかったところだけれど。 それがきっかけで恋心が生まれて付き合う事になったりしたらすごく萌えるんだけどな。 「相羽君と高松君は同じクラスになったのかな?」 「いや、隆一とこいつが同じクラスなんですよ」 「ああ、榊君となんだね」 「隆一の事もご存じなんですね」 「知っているというか…ねぇ?」 そう言って、日比谷先輩はどこか意味ありげに相羽の方へと視線を向ける。 「…なぜ、そこで俺を見るんですか?」 「だってさ。可愛い後輩君の恋愛話を聞かされてたら…」 「わあああっ!ちょっと、先輩!」 くすくすと笑って告げる日比谷先輩の言葉を相羽は慌てて止めに入る。 その顔は赤く染まっていて。 ピーンッ! と反応したのは、俺のBLレーダーだった。 この反応に、先輩の言葉。 これはつまり、もしかして、いや、もしかしなくてもそういう事だよな? 相羽は隆一が好きってことだよな? という事はつまり。 「相羽!!」 「うわっ!?」 次の瞬間、俺は相羽の両手をガシッと握りしめていた。 「な、なんだよ!?」 「俺にも是非、協力させてくれ!」 「はぁっ!?」

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