「恋してるんだよな？是非に協力させてほしい！」 「きょ、協力って…お前、変に思わないのかよ…？」 「変って何が？」 「何がって…その…好きな相手が…男…とか」 言って視線をそらしながら顔を赤らめる相羽の姿を見て思わず。 照れる美形激萌えーーーーっ！！！ と、心の中で叫んでしまったけれど、今はそれどころじゃなかった。 「変に思うわけないだろ！？むしろ大…」 大好物だと言いかけて、慌てて言葉を止める。 「大…？」 「だ、大事なことだと思ってる！」 危ない、危ない。 もう少しで俺が腐男子だとばれるところだった。 「大事な事って…」 「男同士であっても、いや、むしろ、男同士だからこそ好きになる気持ちは大事だろ？」 でも、あながち嘘は言ってない。 相手を好きになるっていう気持ちは男女であっても大事なもので、それは同性同士でもやっぱり大事なものだと思っているから。 俺の言葉に、相羽はまた視線をそらしながらぼそりと呟いた。 「…変な奴」 「変で結構。とにかく、俺は協力するからな。隆一との仲が上手くいくように」 「ふふ。いいね。なら、僕も協力しようかな。可愛い後輩君の為に」 「先輩まで…」 「なら、さっそく今日の昼休みに作戦会議だな！」 「はっ！？ちょっと待て、急すぎないか！？」 「善は急げっていうだろ？なにも、今すぐ告白しろって言ってるわけじゃないから安心してくれ」 「それは当然だ！」 「じゃあ、場所はどこがいいかな？」 「って、先輩も！なんで乗り気なんですか！？」 「それは勿論、相羽の為にだぞ」 「相羽君の為にだよ」 「～～～っ！！ああ、もうっ、好きにしてくれっ」 叫ぶように告げる相羽の言葉を聞いて、俺と日比谷先輩はぐっと親指を立て合う。 勿論、からかい半分で協力するといったわけじゃない。 本当に、相羽には難しいであろう男同士の恋を叶えて欲しいと思ってのことだ。 俺が生BLが見たいがためだけに言ったわけでもない。 それは結ばれた際には、幸せな二人の姿を見て萌えさせてもらえたらとは思っているけれど。 それは、二の次で大事なのは、相羽達が幸せになってくれることだ。 「ふふ、それじゃあ、場所はどこにしようか」 日比谷先輩がそう言った時だった。 「日比谷先輩っ！」 と、声が聞こえてきて、こちらへと駆け寄ってくる足音が聞こえて、そちらへと視線を向けると。 天使ちゃんがキターーーー！！ 相変わらず心の中で俺は絶叫していた。 走り寄ってくるその生徒は長めのストレートの髪に大きな二重のアーモンドアイに、白い肌の美少女と言ってもおかしくないほどに可愛らしい容姿を持っていたんだ。 そして、その後ろから歩いてくるのは、これまた超絶美形がキタ！と思いつつあれ？と俺は首を傾げる。 あの超絶美形は見たことがあるような気がする。 と、考えて俺ははっとした。 昨日の超絶美人と超絶美形軍団の中の一人だ！ 俺は人の顔と名前を覚えるのは本当に得意なんだ。 いや、名前は知らないけれど、顔は確かに間違いない。 あれほどの美形はそうそう他にはいないだろうしな。 天使ちゃんと並ぶと無茶苦茶お似合いだな。 超絶美形×天使ちゃん。 ああ、うん。いい、美味しい。 天使ちゃんは完全受け側にしか見えないから逆パターンはあんまり想像できないけど。 いや、待てよ。 想像できないからこそ実際に見てみたら美味しいのかも？ なんて俺が一人で妄想に浸っている間に、天使ちゃんは日比谷先輩の元まで辿りつき、心配そうに声をかけてくる。 「日比谷先輩、大丈夫なんですか！？また倒れたって聞いて俺、心配でっ…！」 ああ、日比谷先輩を心配して駆け寄ってきたのか。 天使ちゃんらしく性格もとてもいい子なんだな。 なんて、微笑ましく思っていた俺は、次の日比谷先輩の態度に驚くことになる。