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第12話

本当に一体どうするつもりなのかと見守っていると、中から出て来たのは隆一と、隆一に手首を掴まれる形でひっぱられてきた相羽だった。 「ちょっ…!なんだよ!?今、部活中…!」 「いいから!」 「いたっ…痛いって!」 強引に相羽の腕を掴んでずんずんとこっちに向かって歩いてくる隆一の姿に、俺は思わず壁の陰に身を隠す。 今見つかったらやばい気がすると、勘が訴えていた。 隆一は俺の姿には気づかずに相羽の手首を掴んだまま歩いていく。 どこに行くつもりなのかと、距離をとりながら後を追おうとした俺の元に日比谷先輩もやってくる。 「榊君に何言ったんだい?すごい剣幕だったんだけれど」 「何って普通の事しか言ってないですよ?相羽の事が好きになったって。そしたら急に走り出して」 「そうなのかい?とにかく、相羽君が心配だから追いかけよう」 「はい」 日比谷先輩の言葉に頷いて俺達は隆一達の後を追った。 辿り着いたのは使われていない空き教室だった。 俺達は身を低くしてこっそり窓から目だけをのぞかせる。 「おいっ、いい加減離せよ!手が痛いって!」 相羽の抗議に隆一はようやく手を離す。 けれど、その顔に浮かぶ表情は、いつもの気さくな笑みではなく何かを堪えているような無表情だった。 イケメンが無表情になると怖いものがあるよな。 「な、なんだよ?こんなところまで連れてきて…?」 「……のか?」 「え?」 「だから、悠斗と付き合うのかって聞いてるんだよ」 「付き合うって…なんだよ。いきなりそんな」 「聞いたんだよ。本人から、お前と付き合うってな」 「え…?」 ええええええええええええええええええっ!? 心の中で俺は大絶叫する。 俺そんなこと一言も言ってないですけど!? そんなこと言ったの!?という目で見てくる日比谷先輩に、俺はブンブンッと首を大きく左右に振って否定する。 言ってない、そんなこと断じて言ってない。 「で?どうなんだ?」 そこは否定するんだ、相羽!頑張れ! 心の中で応援しながら見守っていると、相羽はゆっくりと口を開いた。 「だったら、なんだって言うんだよ?お前に関係ないだろ?」 えええええっ!?なんでそこで肯定するようなこと言うんだよ!? 再び心の中で叫びながらハラハラとして状況を見守る。 今俺が出て行ったら余計に事態を拗らせるだけだ。 「やっぱり、そうなのか?」 「ああ、あいつは優しいからな。付き合えば幸せにしてくれるだろうし」 「…そうか」 「話はそれだけか?なら俺は戻るから」 「行かせない」 「え…なっ!?」 ダンッ!! 「いっ…!」 歩き出そうとした瞬間、相羽の体は壁に押し付けられ、その音に俺と日比谷先輩の体もビクッとして軽く飛び上がる。 「隆一…!?」 「悠斗の元になんて行かせない」 「な…」 「ずっと、ずっと大事に護ってきたんだ。お前に悪い虫が付かないように護ってきたのに。今更他の奴になんか渡せるかよ…!」 「え…?」 うん?それってつまり? 俺と日比谷先輩は思わずお互いの顔を見合わせる。 「ねぇ、高松君…これってつまり…」 こそりと小声で告げてくる日比谷先輩の言葉に俺も頷き小声で答える。 「つまり、そういう事ですよね?」 もしかして、いやもしかしなくても、隆一も相羽の事が好きってことだよな。 という事は、元から両思いだったってことか。 ああ、でもこれで漸く相羽の話を聞いてから引っかかっていた事に納得がいった気がする。 あくまで俺の憶測だけれど、彼女が出来た報告も別れた報告も、おそらく全部相羽の気を引きたいがためだったんだ。 「好きだ。聡。ずっと、ずっと、ガキの頃からお前が好きだった。でも、俺もお前も男で、気持ちを告げて今の関係が壊れるのが怖くて言えなかった。でもどうしたって諦められなくて、意識してほしくて女と付き合った報告したりして、逆にお前に女が近づくと裏で動いて別れさせたりもした」

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