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特別?
先生は初めて泊まった時のように勝手にシャワーを浴びに行き、しばらくするとこないだのスウェットを貸せと大声で俺を呼んだ。
「まったく…… 」
俺は先生の着るものを用意し脱衣所に置く。
なんだよ……
俺、先生にドキドキしてんの。
学校以外でプライベートでこうやって一緒にいるのって、改めて考えるとやっぱり変だよな。
俺はソファに座り、飲みかけのワインを口にしながら先程の先生の様子を思い出していた。
同情されるのは好きじゃない。可哀想だと思われるのもごめんだ。でも、驚いたけど抱きしめられたのは正直嬉しかった。
「………… 」
ぼんやりとしていると、タオルで頭を乱暴に拭きながら先生が俺のことを見ているのに気がついた。
「志音、髪ドライヤーやって 」
前回同様、俺は先生の柔らかい髪をドライヤーで乾かしながら、いつの間に先生に呼び捨てにされてることに気がついた。
「なぁ、先生? 俺の事呼び捨てなんだな…… 」
別にどうでもいいことだけど、距離感というかなんというか……少し戸惑う。
「え? そういうの気にする? 学校じゃないし、いいだろ? ……だめ?」
うん、ダメじゃないけど。
そうなんだよ。先生、学校の時と学校以外で会ってる時のギャップが大きくて、他の生徒達と違う接し方をされるとどうしたらいいのかわからなくなる。
こんなことしてていいのか? って思ってしまう。
きっと学校ではこんな姿は見せない。今ここにいる先生が本当の姿なんだと思う。
男らしい色気のある大人の男……
「はい。乾いたよ、先生」
目を細め気持ちよさそうにしていた先生が「ありがとう」と顔を赤らめリビングへ戻った。
ソファへドスンと腰をおろすと、短く溜息を吐く。
「いやぁ、ごめん……今日はちょっと酔ったな俺」
確かにベソベソ泣いたり、笑ったり忙しそうだったけど、実際は大して飲んでないのはわかってる。
「先生って、もしかして見かけによらず酒弱いの?」
俺が聞くと、困ったように笑った。
きっと酒が弱いわけじゃないよね。でもそういうことにしといてやるよ。
「なんかなぁ、志音の話聞いてたら酔いが回っちゃって…… 」
俺のせいかよ。
って、あれ? 先生?
「なぁ、おい! 先生眠いの? そんなとこで寝るなよ」
すこし微笑んだような顔して、目を瞑っちゃってる。今にも寝ちゃいそう……てかもう寝てるし!
「風邪ひくぞ。先生 起きて! ベッド使っていいから……」
俺は先生の隣に座り、肩を揺する。
「んっ…」と小さく呻り、薄っすらと目を開けた先生と目が合った。
「………… 」
「あ、悪い。睡魔が……本当志音の部屋は居心地いいな」
先生はどういうつもりで俺に関わるんだろう。
保健室では誰にでも優しい。
よく気がつくし、色んな相談にも乗ってくれる。ちょっとエロくて、有る事無い事をよく噂される、そんな先生。
気に入った生徒には、こうやってちょっかいを出してるんだろうか……
別に手を出されてるわけじゃないけどさ。
こうやって部屋にまで来て一緒に酒飲んで泊まっていくって、普通じゃないよな。
俺は特別なのかな?
そう勘違いしそうになる……
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