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高坂のケジメ

初めてのデートに墓参りだなんてどう思われるだろうか? そう思いながらも、志音はとくに行きたいところもないなんて言うから連れて行くことにした。 いや……初めから俺は志音を連れて行くって決めてたんだけとな。自分の中の「ケジメ」として、大切にする……という決意表明のようなものだった。 ドライブ中も、途中で立ち寄ったサービスエリアでも、志音の言動が可愛すぎてどうにも落ち着かない。 転校してくる前は色んな奴とデートもしたと言っていた志音。こんなに可愛い姿を他の奴にも見せてたのかと思うと、嫉妬で胸が痛くなった。 このまま志音を俺のそばに置いて、誰の目にも触れさせないように閉じ込めたくなる……自分の思考がちょっと怖い。それくらい志音に対して独占欲が湧き上がりどうしようもなかった。 ただでさえ容姿の目立つ志音だ。今こうしてるだけで、周りの人間の視線が気になった。この志音のオーラ、どうにかならないかなぁ…… 職業柄、志音は周りの視線に慣れてるのか、それとも逆に鈍感なのか、他人にジロジロと見られてるのにもお構いなしに俺にイチャイチャしてくるから困ってしまった。 嬉しいやら、恥ずかしいやら…… 飯を食ったら眠くなったのか、助手席の志音の首がカクカクと動く。 チラッと見てみると、半分目を瞑ってうつらうつら…… そんな姿ですら可愛くてしょうがない。大方運転している俺に対して気を遣って、眠らないように頑張っているのだろう。 「志音? 眠いなら寝てていいよ。頑張って睡魔と戦わなくていいから……」 そう言ってやると、ニコッと微笑み あっという間に眠ってしまった。 普段は大人っぽい志音。 二人っきりで一緒にいると、やっぱり高校生なんだよな。 ……いや、もしかしたら そこら辺の高校一年生より子どもっぽいんじゃないかとも思う。 可愛い寝顔。 まだあどけない寝顔を見ながら、俺は志音が自分らしくいられる場所になってやらないとな……とそう誓った。 目的地の霊園。 俺の両親のいるところ。 俺はこの先ずっと独りで生きていくつもりでいた。 けど、違った。 大事に思える人が出来たから── 見てくれてるかはわからないけど、親父とお袋に志音を紹介したかったんだ。こんなに可愛い奴が、俺の事を愛してると言ってくれたんだよ。 俺が大事なんだって。 俺もこいつを一生守ってやりたい。 寄り添って二人で生きていくんだ…… いいよな? 親父、お袋。俺と一緒に志音の事も見守っててやってくれな。 志音も親父達に挨拶したいと言ってくれた。お墓に向かって、長いこと手を合わせてくれている。 何を話してくれてるんだろうか。 俺に振り返り、ありがとうって言った志音の顔がとても綺麗で見惚れてしまった。 志音を連れてくることが出来てよかった。

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