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食事会

撮影が終わり、一旦宿泊先に戻る。 明日は近くのスタジオでスチール撮りがある。明日も少し早い集合だから今日は早く寝なさいね、と真雪さんに注意された。 ホテルに戻るもすぐに仁奈から電話があり、夕飯を一緒にしないかとの提案に真雪さんと仁奈のマネージャーも同行するという条件で一緒に行くことになった。 宿泊先のホテルからすぐ近くの中華料理の店。 奥の個室を用意してもらい、仁奈とマネージャーは裏口から入った。 へぇ…… 有名人って大変なんだな、なんて思いながら俺は真雪さんと堂々と店の入口から店内に入った。 円卓に仁奈と並んで座り、他愛ない話で盛り上がる。 前にも思ったことだけど、気さくでハキハキとした性格の仁奈は凄く話しやすくて楽しかった。 綺麗だし、性格もいいときたらモテるに決まってるよな。そう仁奈に言ってやると、おだて上手だと爆笑された。 仁奈のマネージャーは見た感じ真雪さんと同年代っぽく、すぐに意気投合して楽しく会話をしながら食事をしている。 コース料理ももうデザートまで来たところで仁奈が俺の方に寄ってきて、小声で話しかけてきた。 「志音てさ、恋人できた?」 突然言われて動揺してしまった。 「な……なんで?」 クスッと笑った仁奈が「なんとなく」なんて言って笑った。なんとなく……で俺をこんなに動揺させないでくれ。 「恋人、出来たよ」 恥ずかしかったけど、嘘はつけないので正直に仁奈に伝えた。 「よかったね! いいな。羨ましい……」 キラキラした笑顔を見せながら小さな声で仁奈はそう呟いた。 チラッと真雪さんの方を見ると、仁奈のマネージャーと昔のドラマか何かの話で大盛り上がりでこちらの事なんて気にしてる様子はない。 仁奈はその後、考え事をしているのか少し上の空だったのが気になって声をかけた。 「もしかして何か悩み事? 俺でよかったら話聞くよ? ……あ、情報漏らすような事はないから安心してね」 笑いながら仁奈の耳元で小声で言うと、少し困った顔をしながら「ありがとう」と囁いた。 「うん……話聞いてもらいたくなったら志音に相談するかも。その時はよろしくね」 あまり元気のない顔を見たことがなかったから少し気になったものの、この時はこれ以上気にせず他の話題で盛り上がった。

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