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不信感
休み時間、すぐに俺は保健室に行った。
朝は竜太君のことがあって、保健室に寄れなかったから….
扉を開けるといつもの席に先生が座っていた。
あ……
もう先客がいた。
まぁ、しょうがないよな。
毎回先生と二人っきりになんてなれるわけがないんだから。
だってここは学校の保健室だ。
でもよく見ると、向こうのベッドに腰掛けてたのは修斗さんだった。
「修斗さん、なんか久しぶりですね」
「だね、志音君お仕事忙しいの? 体育祭もいなかったよね?」
俺は修斗さんの隣のベッドに腰掛けて返事をする。
「はい。泊まりで仕事が入っちゃって参加出来ませんでした」
「あー! そうだ。竜太君大丈夫? 大変じゃない? なるべく側についててあげてね」
修斗さんはベッドから足をぶらぶらさせながら楽しそうにそう言った。
…….そうだよ。先輩方々の馬鹿な賭け事のおかげで竜太君が酷い目にあってんだよ。
「なんなんですかね、馬鹿げてる……朝っぱらから竜太君、上級生にナンパされてましたよ」
俺は不愉快全開で修斗さんに話した。
「だよね。毎年恒例なんだよね……ねぇセンセ?」
修斗さんは先生に目線を送りニヤッと笑った。
先生を見ると、何か言いたげな顔をしたけどすぐに目を逸らす。
なんか変な雰囲気……
?
「去年はね、俺が選ばれて大変だったんだよ。で、センセーともデートしたんだよね? あの時は楽しかったね」
はい?
去年は選ばれたのが修斗さんで、修斗さんと先生がデート?
デートしたって事はさ、先生もこの賭けに参加したってこと?
え? これは生徒間の賭け事じゃないの? 先生も参加したって事?
不信感が一気に湧いて先生を見る。
………。
先生、俺から目を逸らした。
そんな俺におかまいなしに修斗さんは話を続ける。
「今年はセンセ、どこに賭けたんだっけ? 全くほんと周の事揶揄うの好きだよね」
「………… 」
「ちょっと 修斗くん、もうやめて……」
先生は少し慌てた感じで修斗さんの話しを遮る素振りをする。
今年も?
俺が仕事でいない間に何やってんの?
そう言えば……
俺は竜太君が体育祭の練習をして怪我をした時の事を思い出した。
周さんも汗だくで練習をして保健室に来て、それを見た先生はなぜだか楽しそうに保健室を出て行った……「まだ詳細知らないんだよね」って言ってたのも、それって誰が景品かって事だったんだ。
どういう事だよ。
凄え嫌だ!
ムカつく!
「……先生、俺寝るから起こさないでね!」
俺は思いっきりカーテンを閉め、ベッドに潜った。
もうこの話、聞きたくない!
頭から布団をかぶり目を瞑る。
しばらく修斗さんの楽しそうな声が聞こえてたけど、そのうち出て行ったのか静かになった。
なに?
先生、今年は竜太君とデートがしたかったってこと?
こんなくだらないのに参加しやがって。何考えてるんだよ。
ムカつく!
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