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意地悪
志音のビーフシチューを食べながら、俺は自分で買ってきたワインも開け、志音と楽しむ。
志音の機嫌もすっかりなおり、少し酒も入ったからか頬を赤く染めて色っぽい顔になっていた。
食べ終わったら俺と一緒に風呂入ってくれるかな……?
思いっきり甘々に抱いてやりたかった。
あ……でも今日は志音の好きにするんだっけ。
思い出した俺は食べている志音の顔をじっと見つめた。
「……なに? 先生。もうご馳走様?」
「うん。今日は俺、志音に何されちゃうのかな〜って思ってさ」
わざと志音の頬を撫でる。機嫌のなおった志音に気を良くした俺はちょっとだけ調子に乗ってみる。揶揄うように言ったら志音は顔を赤くするから嬉しくなってしまった。
「ごめんって……今日は先生が泊まっていってくれるだけで俺、満足だから……」
「いいよ、俺のこと……好きにしなよ。何でも志音の好きなようにしてやるよ?」
色っぽい志音が見たい。普段と違う一面を見てみたい。好きになればそれだけ欲が湧いてしまう。
「あ……いや、いいんだ。あの時先生の優しさにちょっと甘えて言ってみただけだから。ごめんね。ありがとう」
志音のそんな言葉に俺は物足りなく感じる。そんな風に言うならもうちょっと意地悪してみようかな。
「ふぅん、俺の優しさにつけ込んだんだ……ならさぁ、今日は俺の好きなようにさせてもらうかな?……いいだろ? 志音 」
志音の瞳をわざとジッと見つめると、少しオドオドして目を逸らした。
困ってる姿がまた可愛い。
「先生……まだ怒ってる?」
始めっから怒ってなんかない。
「別に……今夜志音が俺の言う事何でも聞いてくれたら、嬉しいかな」
志音は益々赤い顔をして困った表情を見せる。
「……うん、わかった。いいよ、先生」
「いいの? 嬉しいな。じゃ、とりあえずこれ食べたらさ、一緒に風呂入ろうか」
俯いて小さく頷いた志音を見て、俺は満足してビーフシチューを食べ終えた。
志音が風呂の準備をしている間、俺は食べ終えた食器の後片付け。
これは付き合い始めて俺が勝手に決めた事。手荒れさせちゃ嫌だったから。
俺はワインの残りを飲みながら、鼻歌交じりで洗い物をする。しばらくすると志音が風呂場から戻ってきた。
カウンターに座り、俺の事をじっと見る。
「ん? なに? あ、 さっきも言ったけど、俺はもう怒ってねぇよ」
俺がそう言うと、志音は小さく首を振った。
「いや、そうじゃなくて……一緒に風呂入んなきゃだめ?」
もじもじして志音が言った。
「だぁーめ! 一緒入るの。 なんで? 嫌?」
「違うよ……恥ずかしいから」
なら尚更一緒に入らなきゃ。
「もうエッチだってしてるんだし、風呂くらいいいだろ? 風呂場でいちゃいちゃしたいの、俺は」
口を尖らせ、少しふて腐れたような顔の志音を見て俺は笑った。
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