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余裕ない…
志音が堪らないといった表情を隠すことなく湯船に浸かっている。
簡単にシャワーを浴びた俺は志音の背後に座った。
狭い浴槽。
別にゆったり体を休めるために風呂に入りたいって言ったわけじゃない。
恥じらう志音を楽しみたかっただけ……
指先でわざと志音の背中をなぞると、ビクッと体をしならせる。擽ったいと言って嫌がる志音に欲情した。小さな声で「嫌だ」と抗議するけど、擽ったいからじゃない。感じちゃうからやめてって言えばいいのに……
指先で志音の背中を撫で回してから志音の引き締まった腹に手を回す。いちいちビクッと反応する志音が可愛くてしょうがなかった。
「感じちゃって困ってる志音が見たくてわざとやってんの」
そう言うと、志音は恥ずかしいのか黙ってしまった。それでも俺は無遠慮に志音の唇を奪う。慌てたように俺から離れる志音が可愛いかった。
志音は俺が来る前にシャワーを済ませていた。志音のことだから、ちゃんと準備もしているのだろう。
ぎこちなく泡立てた手で俺の背中を撫で回し洗ってくれる。ふわふわと優しく撫でながら、俺の体も褒めてくれた。まさか体を褒められるなんて思わなかったから、何だかこそばゆかった。
志音はさっきから俺の背中ばかり洗っている。前に来てこっちも洗えと促すと、素直に言うことをきき前に回って俺の胸元を手で撫でる。泡泡の手のひらで微妙な力で撫で回すのが気持ちよかった。
志音の視線が俺の下半身に行き、顔を赤くして目を逸らす。これはしょうがない。さっきから志音の色気にあてられて、今すぐにでも抱きたいんだから……
「先生の、勃ってるし……」
恥じらいそう言う志音だってとっくに勃っているのに気づいてないのかな?
堪らなくなった俺は志音の頭を引き寄せキスをした。
軽く舌を絡ませただけなのに、志音の足がガクッと崩れる。志音の後頭部を押さえたまま、舌を絡めキスを続けた。
段々と苦しくなったのか、辛そうにしている志音は、唇を離した途端、俺の胸を軽く叩いた。
「苦しいってば。もぅ…… 」
「早く泡流して……ベッド行こ」
「え……」
戸惑う志音に少し苛つき「ならここでするか?」なんて言ってしまった。もう余裕がなくなってるのがわかり、心の中で「ごめん」と謝る。
だめだ……今すぐ抱きたい。組み敷きたい。
志音を見ると、潤んだ瞳で首を振った。
シャワーで泡を流し、さっさと風呂場から出て用意してくれていたバスローブを羽織る。
そのままキッチンでミネラルウォーターを取り出しひと口含むと、俺は後ろから遠慮気味についてきていた志音の腕を掴んでベッドルームへ歩いた。
ベッドルームへ入ると振り返り、強く志音を抱きしめる。
キスをしながらベッドへ歩き、足をふらつかせた志音を少しだけ乱暴にベッドに突き飛ばした。
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