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合鍵
取材も終わり、事務所には俺と社長の真雪さんの二人だけ。さっきまで敦もいたけど少し前に帰って行った。
「お疲れ様。放送されるのは来週よ」
真雪さんはそう言いながら俺にコーヒーを淹れてくれた。
「あ……ありがと。真雪さん、俺大丈夫だった?」
「うん、ばっちりイケメンだったから大丈夫よ」
笑顔の真雪さんを見て安心する。
コーヒーを飲みながら、明日からのスケジュールを確認して俺は着替えて家に帰った。
玄関のドアを開けると電気がついている。
足下を見ると男物の靴が一足……先生だ!
「ただいま! 陸也さん来てるの?」
俺は嬉しくて慌てて靴を脱ぎリビングへ急いだ。今日は来るって言ってなかったのに、それなのにこうやって来てくれたなんて嬉しすぎる。
慌ててリビングの扉を開けると、思った通りそこには先生が立っていた。
「ここまで来んの早っ!」
先生はそう言って驚いた顔をして笑顔を見せる。
「お帰り、志音。お疲れ様」
抱きつく俺に優しくキスをしてくれた。
「なんで陸也さんいるの? びっくりした! でも嬉しい 」
はしゃぐ俺に笑いながら先生は冷蔵庫からミネラルウォーターを出してくれる。俺が帰宅後必ず水を飲むのも先生は知っててくれてるのが また嬉しかった。
「なんでも何も、合鍵くれたじゃん」
そうじゃないよ、そう言うこと言ってんじゃないんだよ。そんなのわかってるし。
「違くて! なんで今日ここに来たの?」
「いや……今日の仕事、なんだか志音嫌そうだったからさ。疲れて帰っても俺がいたら元気でるだろ?」
可愛い顔して先生が笑う。
「もう何なの? それ! 自分でそう言っちゃう? でも本当、元気出た! ありがと陸也さん!」
俺は先生に抱きついたままお礼を言った。
ソファに座った先生に寄りかかり、俺は甘える。
こうしているのが落ち着くし大好き……
「陸也さん、何時頃から俺んちいたの? 一人で何して待ってたの?」
背中に先生を感じながら、他愛ない事を話しかける。
「ん……仕事終わって一旦家に帰ってから悠のとこで一杯飲んでここに来た。志音の載ってるこの雑誌見てたよ。ああ、これもかっこいいなぁって思って見惚れてた」
そう言いながら、後ろから回された手に顎を掴まれ、強引に振り向かされる。そのまま引き寄せられるように唇を重ねた。
……相変わらず慣れてるなぁ。
じわじわと体重を掛けられ、俺は先生の肩に手を掛ける。
こんな風に強引に組み敷かれる感じ、嫌いじゃない……
「はしゃぐ志音が可愛すぎてヤりたくなっちゃった…… 」
そう言って先生は俺の額にキスをした。
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