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主導権
「ちょっと……んっ、陸也さん……待ってよ…… 」
ソファで先生に押し倒された俺は、何とかその腕から抜け出そうとジタバタする。
「志音がいつもそうやって、ちょっと抵抗してジタバタすんのがまたムラッとするんだよな…… 」
そう言って先生は更にググッと力を込めて俺の腕を捕まえた。
「……ん 」
別に本気で抵抗してるわけではなく、俺はいつも少し強引な先生にドキドキして興奮してる。だから、先生に乱暴にしてもらえるように俺はわざと抵抗する素振りを見せるんだ。
……でもね、そんな事は恥ずかしいから先生には言えない。
でも多分先生はわかってる。だからいつもこうやって、少しだけ強引でそして優しく愛してくれるんだ。
「志音、もうこんなになっちゃって……ここでしちゃう?」
ズボンの布越しに先生の手が俺の中心を弄ってくる。
「あっ……やっ、まって……そんなに……しないで」
俺の形を確かめるように指先を使って摩られるのが、ゾクゾクして気持ちがいい。またすっかり先生のペースだった。
「あ、んんっ…… 」
「どうする?……どうしてほしい? ほら……言えよ」
すぐに先生は意地悪な言い方をする。俺は堪えて先生の胸に顔を埋めた。
先生は困ってる俺を見て楽しんでんだ。
「もう……俺、んんっ……シャワーいく……んっ… 」
俺は顔を上げ軽く唇に吸い付き、俺の体を弄る先生の頬を撫でてなんとかそこから抜け出した。
「陸也さん……ベッドで待ってて」
そう言ってから俺はシャワーへ向かう。
シャワーを浴びながら、火照ってしまった体を落ち着かせ考えた。
先生とセックスするようになってから、いつも俺ばっかり気持ちよくしてもらってる。そりゃ先生の方が大人だからリードしてくれてるんだろうけどさ……
いいのかな?
いつも俺ばっかり受け身で本当にいい? こういうのってさ、お互いがよくならないといけないんじゃないのかな?
俺が主導権握って先生を満足させてやらないとさ……
そのうち飽きられちゃわないかな?
先生との距離が近付くにつれ、変な不安に襲われる。
そんな事ないってわかってるけど……先日先生に「好きにしていい」って言われた時 断っちゃったけど、あの時俺がもっと攻めた方がよかったのかな……そう思うんだよね。
俺、今日はちょっと頑張ってみようかな──
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