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報復
保健室を出て教室に向かう途中、人の気配がして振り返る。少し歩くも、やっぱり姿は見えず でも見られている気配はずっと付きまとっていた。
気持ちが悪い──
今はまだ授業中だし、廊下には俺しかいない……はず。人気の無い廊下を歩きながら不審に思った途端、急に背後から現れた奴に強い力で肩を掴まれてしまった。
「ちょっとさ、顔貸してよ志音君 」
保健室にいた先輩二人と、もうひとりの知らない奴……
「なんなの? しつこくない?」
無視しようと思ったけど、がっちりと腕を組まれて引っ張られる。
……面倒くさい。
力では敵わず、俺はぐいぐいと先輩達に腕を引かれ体育館の倉庫まで来てしまった。中に入るなり、畳んだマットの上に突き飛ばされた。
「調子乗りすぎたよね? ムカつかれてんのわかってる?」
一人がそう言って近づいてくる。
「……すっごい僻まれてるのならわかるけど」
そう言って笑ってやると、真っ赤な顔で怒り出してしまった。
「その綺麗な顔、ボコボコにしてやらないと黙らないか?……なんなら……」
「いいの? 俺、俺自身が大事な商品なんだからそんな事したらあんたら大変だよ?」
顔は傷つけられたら面倒だ。
今日も仕事入ってるし。
今日は……あ、雑誌の撮影だったな。
冷静にそんな事を考えていたら、一人に腕を捕まえられ床に押さえつけられた。もう一人が俺の腹の上に跨り、上から見下ろす。
「ちょっと? 凄い重たいんだけど…… 」
本当に重たい。
足首も何かで縛られたみたいで動かせなくなった。
「お前自分の状況わかってる? 顔はまずい? なら見えないとこならいくらでも傷つけられるよね? それに恥ずかしくてお前が人に言えないようにすればいい……」
そう言って携帯のカメラを俺に向ける。
シャッターを押すと、そいつは少し動いてから俺の脇腹を殴ってきた。
「いいねぇ、痛いだろ? 辛そうな顔も綺麗なんだな。さすが志音だ」
楽しそうに同じところを何度も殴りつけてくる。その度にカメラのシャッター音が小さく響いた。動こうにもがっちりと抑えられてて動けない……
痛えなクソっ!
しばらくの間、同じところを執拗に殴られていたら、何もしていないもう一人が声をかけてきた。
「ねえねえ、もうやめてよ。痛そうだよ。可哀想だよ……そろそろいいかな?」
……?
「志音よかったな。こいつ、お前のことが好きなんだとよ。痛いのはおしまい。今度はこいつに優しくしてもらえ」
腹に乗っかってた奴が横に移動する。
「はじめまして志音君。僕ね、ずっと君のファンだったんだよ。おつき合いする事は無理だけど、体を触るくらいならいいよね?……ね?」
そう言いながら、そいつはさっき殴られた場所を優しく摩ってくる。
何だこれ、気持ち悪い。体を触るくらいならいい? ふざけんな……触るんじゃねえよ。鼻息荒く俺を摩りながら、空いた片手でシャツのボタンをはずし始めた。ネクタイを緩め、横に流す。はだけた胸元から手を滑り込ませてきた。
反射的に体が強張る……
「あ……僕の手、気持ちいい? 志音君、肌がスベスベ……ふふ、いい匂い」
そう言って俺の胸に顔を近づけてくる。
マジかよ……
「やめろ! 気持ち悪い!」
「ああ……そんな事言わないでよ、僕が気持ち良くしてあげるから……」
そいつは俺の胸にキスをしながら乳首を舐め始めた。
ちっとも気持ちよくない! 気持ち悪い!
やだ……先生……
暴力を振るってきた奴は少し離れてニヤニヤしながらこっちを見ている。
腕はしっかり押さえつけられたまま。俺の胸を舐めながら、そいつの手が下半身に降りてきた。
「……やめろよ! おい! 離せって!」
「やっと焦り始めたか? ざまぁみろ」
ベルトを外され、ホックを外したそいつは遠慮なく手を滑り込ませてくる。
「やめろ! 気持ち悪い! 触んな!」
「ちょっとさあ、暴れてるその足、押さえてよ」
一人が俺の足首を抑え込む。
「ふざけんな! おいっ!」
ニヤニヤしながら、俺の足に跨りズボンを下ろす。
「履いてる下着もおしゃれだね。どこのブランド?」
やだ! 触んな!
下着の上からそいつは俺のそこに軽く噛み付いてきた。
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