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焦燥

どこかで寝てるから電話に気が付かない? そうだよな…… そうであってくれ。 休み時間の終わりを告げるチャイムが聞こえる。とりあえず校舎内にいるだろうから探さないと。 どうしても志音の姿を見るまで落ち着けない。保健室のドアに外出中の札をさげ、俺は廊下を急いだ。 先ずは屋上から。だいたいサボる奴は保健室か屋上なんだ。 階段を駆け上がり屋上のドアを開ける。冷たい風が吹き抜け、髪を乱した。 ……いない。 ぐるっと一周したけど、志音どころか誰もいなかった。 クソっ! また校舎内へと引き返し、音楽室や理科室、視聴覚室なんかの準備室を片っ端から覗いていく。使われていない教室の準備室はほとんどが施錠してあり人の気配は無かった。 気持ちが焦る…… もしかしたら仕事の関係で早退したのかもしれない。俺の取り越し苦労なのかもしれない。それでも嫌な予感が頭を過ぎりじっとしていられなかった。 上の階から順に探し、今度は美術室を覗く。 ここは授業中。チラッと覗いてからそのまま進み体育館へ到着した。 体育館にも誰もいない。 よく見ると奥の体育倉庫のドアが少し開いていた。倉庫の前まで駆けつけ中を覗くもやっぱりそこにも誰もいなかった。 「……汚ねえなぁ、散らかりすぎだろ」 マットはズレてるわ、ボールのカゴはひっくり返ってるわ、誰かの上履きも落っこちてる。 ここっていつもこんなに散らかってんのか? とりあえず気になったので、散乱しているボールを足で集めつつ次はどこを探そうかと考えていたら、ふと見慣れた物が目に飛び込んできた。 「これ…… 」 ズレたマットの上に転がっていたのは、いつも志音が身につけていたピアスだった。 間違いなく志音のピアス。俺が見間違うわけがない。 どういう事だ? ここにいたのか? ふと奥に転がってる上履きを見た。 名前…… さっき保健室で志音の悪口を言ってた三年の名前…… 嘘だろ⁉︎ 焦ってまたポケットから携帯を取り出す。 指が上手く動かない…… 深呼吸して画面をタップし、志音の携帯を呼び出した。 お願いだ……出ろ! どのくらいの時間呼び出し音がしていたのか、半分諦めかけた瞬間携帯が繋がった。 「……志音?」 『あれ? 誰? ……って、高坂センセ?』 「……誰だ?」 『志音君の携帯だよ。表示に 陸也 なんて出てたから誰かと思ったら、センセ〜じゃん、ウケる』 「……?」 携帯繋がったはいいけど、志音はどうした? この電話に出てんのは誰だよ。

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