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心配かけてごめん

修斗さんが保健室から出て行ってから少しして、物凄い勢いで先生が入ってきた。 ピシャっとドアを閉め、こちらを見もせずワタワタと鍵を閉めてから振り返り、やっと俺の顔を見てくれた。 「志音!」 怖い顔で大きな声…… 思わずビクッと体が竦む。 真っ赤な顔で俺に近づいて来た先生は、それ以上は何も言わず、これでもかってくらい力強く俺を抱きしめた。 俺の肩に顔を乗せた先生は少し震えているようだった。 「何された? 怪我はないか? 大丈夫か?」 慌てた様子で俺に聞く。 先生の温もりと声に、俺は緊張の糸が切れたのか急に怖くなってしまい涙が溢れてきてしまった。 うわっ……みっともねぇ。 なに泣いてんだよ俺、恥ずかしい。 「…….ごめん、大丈夫。心配かけちゃってほんとにごめん。俺が煽ったばっかりに、あいつらにヤられちった。でも修斗さんが助けてくれたから……大丈夫」 俯いてそう言うと、先生は黙ったまま俺の頭を優しく撫でた。 「先生?」 「……もう、心配したんだぞ……ほんとよかった。ゾッとしたよ。心配で生きた心地しなかった……」 先生が顔を上げそう言うと、俺を見つめながらベッドへ押し倒してきた。 「先生?……ちょっと 」 先生は俺の頬に口付ける。 「泣いてる……本当、修斗くんに感謝だな……」 俺の髪をかきあげ、額や頬に何度もキスをしてくれた。 そのまま俺のネクタイを緩めると、シャツのボタンも外し始める。 「体、ちゃんと見せて……怪我はない?」 ボタンを全て外すと、俺の脇腹に手を添えた。 「酷い……ここ、痛むか?」 「っ! ……少し……でも大丈夫だから」 少しどころかだいぶ痛かったけど、心配かけたくなくてちょっとやせ我慢をした。 どうしたって体が強張る。 でも…… 痛いんだけど、先生に触れられてるって思うだけで変な気分になってしまうのはどうしてだろうな。 やめて……もう大丈夫だから。これ以上俺に触れないで。 先生は真剣な顔をして俺の脇腹や胸、肩や首筋へ優しく手を這わせてくる。 「んっ……先生っ……だ、大丈夫だから……あ、や……もうやめて…… 」 先生は真面目に俺を心配してくれてるのに、こんな気持ちになっちゃって俺一人バカみたいで恥ずかしすぎる。 「時間が経てば消えるだろうけど、熱もってるし冷やしとこうな…… 」 そう言って、先生はベッドから降り薬棚へ歩いてく。 ……もう、なんでいちいち俺は感じちゃってんだよ。 てか先生が変に色っぽいからだ。 湿布を持って先生が戻ってくる。俺は起き上がってベッドに腰掛けていたら、既にボタンの外れているシャツを腕から抜いて脱がされてしまった。 「皺になるから掛けとくぞ」 そう言ってハンガーに掛けてくれ、それから俺の脇腹の痣にそっと冷湿布を貼ってくれた。 脇腹を、優しく摩る先生。摩りながら先生の顔が近づいてくる。 「……… 」 ふわりと柔らかな唇が重なった。 そのまま俺は後ろに倒れる。 別に押されたわけじゃないのに…… 「やけに素直だな志音は…… 」 少し楽しそうな顔をして先生が微笑みながら俺を見下ろした。

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