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甘えたっていい
蕩けるようなキスをされて、俺は堪らず体を先生の方へ向けると首の後ろへ手を回される。先生の舌が俺の上顎を擽ると、気持ちよくて力が抜けた。
「ん……先生……」
ゾクッとして体が反応してしまうのを先生は見逃すはずもなく、俺の体を弄ってくる。
あ……気持ちい……
先生の手が、俺の尻を弄りながら上がってきて腰に触れた。
「んっ……!」
思いの外、殴られた場所が痛くて思わず体が強張り、先生は慌てて手を離した。
「あ……ごめんな、痛かったよな? てか、本当大丈夫なのか? 志音、痛み我慢してない?」
優しく俺の顔を覗き込み、俺のシャツを捲り上げる。そっと湿布を貼った箇所に触れる先生。
「酷い痣だな。肋骨にヒビでも入ってたらいけないから病院行くか…… 」
俺の体を見て、先生が泣きそうな顔しちゃってる。
「大丈夫だよ。確かに痛いけどさ、昼間ほどじゃないし……このまま痛みが治らないようなら病院行くから」
心配そうな先生の頬へ手を添えて唇を重ねた。
「シャワー行ってくるから待ってて…… 」
先生から離れると、俺は一人シャワールームへ向かった──
シャワーを済ませリビングに戻ると、先生はソファに座ってビールを飲んでいる。出てきた俺に気がつくと、笑顔で俺に手招きをした。
「おいで…… 」
いちいち仕草にドキッとする。ジッと見つめられるのが落ち着かず、俺は俯いて先生のところへ歩いた。
ソファに近付くと、両手で捕まえられドンと先生の真横に腰を下ろす。バスローブの隙間から先生の手が滑り込んで、いきなり敏感なところを摩られ体がビクッと震えてしまった。
「んっ… 」
先生にきつく抱きつかれ、俺はドキドキしながら先生に体を預ける。
「志音が他の奴に触れられたと思うと腹が立って腹が立ってしょうがないよ……それに助けてやれなかった自分に腹が立つ」
「もういいよその話。やめて」
先生は俺の首筋にキスを落としながら、俺を襲った奴らの話をし始める。
それぞれの担任に話をして、携帯のデータを破棄させそのまま取り上げ、全員一週間の停学処置にしたらしい。
「本当は退学にしてやりたかったんだけどな」
俺の事を見つめながら愛おしそうに頭を撫でてくれるのが、すごく心地良くて幸せな気分になる。あの時のことなんかもうどうだってよかった。
「いいってもう、先生がこうしていてくれるだけで俺幸せだから……気にしないで」
「親御さんには話したのか? 今日は仕事だったんだろ? ちゃんと話せた?」
……? 親御さん?
「あ、真雪さん? 話してないよ。心配させたくないし。それに脱ぐ仕事はしばらくないしさ、痣消えなかったら説明するけど……でも言ったら怒られんだろうなぁ 」
そう言うと、真面目な顔で先生に怒られてしまった。
「親なんだからちゃんと話さないと。親は心配するのが当たり前だろ? 子どもが辛い思いしてんのに黙ってられるのは親だって辛いんだぞ……血は繋がってなくても、志音を救ってくれて自ら親になってくれたような人なんだから。ちゃんと甘えろ」
甘えろって……
「嫌なことがあったら愚痴っていい。甘えたっていいんだ。俺だけじゃなく真雪さんにも甘えていいんだぞ……真雪さんには遠慮することなんかないんだ」
先生はそう言うとキュッと抱きしめ、相変わらず頭を撫でる。
「………… 」
「でさ……そろそろ俺を真雪さんに紹介してくれよ。ダメかな?」
そういえば俺、先生に紹介するって言ってたっけ。
「俺、ちゃんと志音と真面目に付き合ってるって言いたいんだけど……だめかな? まずい? ……真雪さん、その……志音が男と付き合ってんの知ってるんだろ?」
少しおどおどしながら先生が話す。
「うん、知ってるし、今度紹介してねって言われてるから大丈夫だよ。うん、そうだね。都合のつく日、聞いておくね」
先生を見るとちょっとだけ目を見開いてから「おぅ、わかった……」 と小さく呟く。
もしかして緊張してるのかな?
「陸也さん?……大丈夫?」
先生の顔を覗き込み、軽くチュッと唇にキスをした。
「緊張しちゃって可愛いね」
そう言うと、先生は「そりゃ親に挨拶なんて緊張もするだろ」と言ってプイッと拗ねてしまった。
「陸也さん……もういいからさ、早く俺の身体検査しちゃってよ」
俺はちょっとお預け食らってる気分になって、我慢できずにそう言った。
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