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ドライブデート中断?
今日の休みは志音と久々にドライブデートだった──
朝風呂に入ってスッキリして、志音が簡単な朝食を作ってくれる。俺の家の冷蔵庫の中には大したものは入ってなかったはずだから、来る時にわざわざ買い物をしてくれたんだろな……そう思ったら頬が緩んだ。
俺の家のキッチンで、大好きな人がエプロンつけてウインナーを焼いている……そんな姿を眺めながら、俺はゆったりとした気分でコーヒーを啜った。
志音は朝食は食べない。
出来上がったものを俺は頂き、さっさと片付け出かける支度を始めた。志音はドライブが好きみたいで、休みが合うたびにドライブがしたいと言ってくる。車の中ならまわりの目があまり気にならないからな。
車中で志音に手を握られたり、いきなりキスをされたり、そんな志音の可愛い言動を見られるから俺も案外ドライブは好きかもしれない。
「陸也さんまだぁ? もういいじゃん、早く行こうよ」
玄関の方で志音が呼んでる。
俺は洗面所で髪のセット……
志音と並ぶのに、少しは綺麗にしておかないとといつも思う。
あ、これは志音に対しての対抗心ってわけじゃなくて、志音とお似合いだってまわりから少しでもよく見られたいから。
男同士でお似合いってのもどうかと思うけどな……
前に志音と敦が並んで歩いてるのを見て、すごくお似合いだって感じたのがやっぱり凄く悔しかったから。
もう少し髪のセットをしたかったけど、志音が早くしろってうるさいから俺は諦めジャケットを羽織り玄関に向かった。
「陸也さん、何でそんなにカッコつけてるの? そんなに気にしなくても凄くカッコいいのに……」
助手席に乗り込みながら、志音が笑顔で俺に言う。
そっか、カッコつけてるって思われてんのか。俺は志音に見合う男になろうと必死なんだよ……と、心の中でそう言いながら俺も志音に笑顔を見せる。
「外に出るのに身嗜みは整えなきゃだろ?」
笑ってそう志音に答え、俺はエンジンをかけた。
しばらくあてもなく走り、信号に捕まる。
他愛ない話で二人笑い合っていると、志音の携帯の呼び出し音が車中に響いた。
「あ、ごめんね陸也さん……」
そう言って、志音は電話に出た。
電話口から、ハッキリとは分からないけど真雪さんが何かを言っている声が僅かに漏れ聞こえる。僅かに聞こえるだけだけど、途切れ途切れで聞こえてくる声は物凄く怒っているようだった。
「なんだよ……今陸也さんとデート中なんだけど 」
『い……から──』
「はぁ? なんでだよ! 明日じゃダメなの? え……」
どうやら何かあったらしく、真雪さんは今すぐ来いと言っているらしかった。
「………すみません……はい、わかりました……はい……はい」
途端に志音の顔色が悪くなる。消え入るような声で真雪さんに返事をすると電話を切った。
俺は運転しているからチラッとしか志音の顔は見られなかったけど、志音が何やら酷くしょげかえっているのはわかった。
「どうした? 真雪さんだろ?……なんかめちゃくちゃ怒ってたように聞こえたんだけど…… 大丈夫か?」
俺が声をかけると、申し訳なさそうな志音の声が返ってくる。
「今からさ、俺を事務所に送ってくれないかな?」
「オーケー」
デートは中断……
ちょっと残念だけど、しょうがない。
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