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気になるけど……
志音と仁奈の熱愛報道がされてから数日はワイドショーでもちょこちょこと取り上げられていた。それでも一貫して双方の事務所が熱愛否定をしていたのもあり、すぐに他の話題へと注目は流れていった。他人の興味なんてこんなものだ……
全く……
志音は俺のもんなんだよ。
テレビであの写真を目にする度、全然知らない奴らが知ったかぶりで物を話す様子を見る度、俺はイライラが増していた。保健室に遊びに来る他の生徒にもそれはバレバレで、揶揄われることもしょっ中だった。
「やっぱり自分のお気に入りがチヤホヤされてるとイラついちゃうの? 」
そんな風に言われる始末。
だから思ったより早く終息して俺はホッとしていた──
今日は久々に志音が保健室に来ている。
志音もほとぼりが冷めるまで学校に来づらかったんじゃないかな。でも最初の一日休んだだけで、毎日ちゃんと登校していたみたいで感心する。
「……頑張ったな、志音」
思わず志音にそう言うと、志音は可愛く首を傾げた。
「は? なにが?」
可愛らしい仕草とは裏腹に、生意気な物言いで俺を見る志音。志音が保健室にいることも久々で、俺はちょっとおかしくなってるんだと思う。
「なぁ志音、こっち来いよ…… 」
ベッドに腰掛け志音を呼ぶと、途端に頬を赤くして俺を見る。
「なんで? 先生エロい顔してるから…… なんかやだ。ここ学校だよ?」
「鍵してあるから大丈夫だよ」
「いや、鍵とかそういう事じゃなくてさ…… 」
嫌だとか言いながらも俺のそばまで歩いてくる志音。
制服姿で俺の事を先生って呼ぶ志音も、堪らなく可愛く思えた。
俺の目の前まで来た志音の腰を両手で捕まえると、少し体を強張らせ俺の顔を見た。
「志音、キスしてよ……」
上を向き目を瞑る。
少しして、軽くチュッと志音が口付けた。
「先生……あのさ、俺……ちゃんと説明してないけど、いいの? 気にならない?」
俺の肩に手を掛けて、不安そうな顔で俺に聞く。
そりゃ「気にならない」って言ったら嘘になるけど、でも志音が俺以外の誰かとどうこうなるなんて考えられない。
「いいよ、仁奈は内緒にして欲しいって言ってたことなんだろ? なら無理に聞かないよ」
あんな事があっても正直に俺に言わなかった志音。口止めされていたってわかって納得をした。自分を犠牲にしてまで約束を守ってやったことは素直に偉いと思ったんだ。
「……気にならないの?」
「あれ? 気にして欲しいの? 志音は可愛いなぁ」
揶揄うようにそう言うと、少しぷうっと頬を膨らませムッとした顔をする。
俺はそんな志音が愛おしくて可愛くて、強く腰を抱きしめてその胸に顔を埋めた。
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