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待ち合わせ
先生と俺の都合を仁奈に伝えてから数日後、メールが来ていた。
『今度の日曜の晩はどう? 二人で来てね。待ってます』
なんだか一方的な簡潔な文……仁奈らしい。
そしてその日曜を迎え、俺はただいま先生と待ち合わせ中──
最寄りの駅から少し外れた場所。
外でこうやって待ち合わせるのもなんだか新鮮だった。先生との待ち合わせが嬉しくて、俺は張り切ってかなり早く到着していた。それでも向こうから歩いてくる先生の姿が見える。
時計を見るとまだ十分前……
全然俺に気がつかず、スタスタと歩いて来る先生。
遠目で見ても……かっこ良かった。
俺がジーっと先生を見つめていると、だいぶ近づいてきてから俺の姿に気がついた。
「あれ? 志音早くね? ……俺、かなり早いと思ったのに」
「うん、嬉しくて早く来ちゃった 」
素直にそう言うと、先生は嬉しそうにはにかんだ。
本当はさ、腕組んで歩きたいんだよね。
手を繋いだり……
手くらいいいかなって思って軽く手を出しても、慌てて振り払われてしまった。でもちょっと慌ててる先生も面白い。
「こら……志音、俺の事からかってるだろ? でも、もっとくっついて歩きたいよな……」
そう言って、一瞬だけ俺の腰に手を回して引き寄せてくれた。
「もう! 陸也さんこそ俺の事からかってる……恥ずかしいだろ」
今度は俺が動揺してるのを見て、先生はクスリと笑った。
電車に乗るとそんなに混んでいなかったので、先生と並んで座る。やっぱり俺、楽しくてしょうがない。
「ねぇ、電車一緒に乗るの初めてだよね? なんかいいよね、新鮮だよね」
先生とデートと言えば、大抵は車で出かけるか夜遅くに飲食店まで歩くくらいだ。
並んで座るのが意外に先生と近くて、触れ合う肩や腿を意識してしまってちょっとドキドキしてしまった。
「……どうした? 気分悪い?」
先生の隣でドキドキしながら思わず黙り込んでしまっていたら、心配されてしまった。
「ううん……少し眠いかも」
ちっとも眠くなんかなかったけど、もっと触れたくてわざとそう言い先生の肩に頭を乗せ寄りかかる。
……先生の匂い。
眠くなかったけど、体を預けたらなんだかやっぱり眠くなってしまった。
「……少し寝てていいぞ。疲れてんだろ?」
先生はそう言って俺の頭をぽんぽんと優しく叩く。
俺はそのまま甘えて眠ってしまった──
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