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快人 12

「こいつは元カノ。さっき話した同居人な」 誠は前半は俺に、後半はその元カノに言った。 「お邪魔してます」 「あ、いや俺はただの居候だから…。誠、俺出てくるな」 ペコリと頭を下げた誠の元カノは、なかなかに可愛くて、ちょっとチクショーって思った。 「待って待って、快人。真美はもう帰るとこだから。病み上がりだしあんま出歩くなよ」 「いや、でも、さ…」 迷ってる内に誠に腕を掴まれて部屋に上がることになった。この狭いワンルームに3人って結構気まずい。 「…………」 「じゃあ、誠、また電話するから」 気まずい沈黙の中誠の元カノがそう言って席を立った。 俺やっぱすげーすげー邪魔じゃね? 「気を付けてな」 玄関先まで見送った誠の後ろ姿と、その隙間から見える元カノの顔は少し切なそうに見えて、別れを惜しんでる感じ?それに、なんか親密そうな空気があって、すごく…すごく…妬けてくる。 って、誰にだよ? 誠に決まってる。あんな可愛い元だけど彼女がいて羨ましいんだ。 なんかあの子まだ誠が好きそうだったし…。 でも…なんか違う。 まさか、俺彼女に嫉妬してんのか? んな、まさか。 でも、俺ってもしかしたら本気の本気で誠を奥さんにしたいんだろうか。 つまり、そういう意味で誠が好きなんだろうか。 「かーいと!」 「うわ!」 「何ぼーっとしてるんだ?」 とっくに見送りを済ませたらしい誠とすごい近くで目が合って、考えていた内容が内容なだけに物凄いドギマギした。 「べ、べつに…」 「ふーん。…な、真美の事は気にすんなよ。俺、ちゃんと好きな奴いるって言ってあるから」 「な、なんだよ、それ!」 「妬いてくれたのかと思ってさ」 「や!妬いてねーし!何で俺が…」 「そ。でも俺が好きなのは快人だけだから」 さらっと誠にそんな事を言われて、カーっと頬に熱が籠った。 ヤバい、俺……もしかして誠の事…。 「そういや快人、飯食った?」 「食ってねえ」 「そっか。じゃあ、昨日の残りのうどん茹でるんでいい?まだあんまりガッツリ食えないだろ?」 頷くと誠は台所に立って仕度を始めた。 今日は俺が作ろうと意気込んでいたのに、今は慣れない事が出来る精神状態じゃない。 うどんを食べながら、誠が元カノがここに居た経緯を話してくれた。 地方の大学に行っていたらしい元カノは、何か上手くいかないことがあった様で大学を辞めて実家に戻ってきたらしい。 高校の同級生の伝で誠のマンションを知ったらしく、今日突然訪ねて来たのだという。 元カノの気持ちも少し分かる気がする。 傷心の時は誠に会いたくなるよなぁ。 誠は面倒見がいいし、優しいから、あの元カノもさぞ誠に癒された事だろう。好きな気持ちが復活したっておかしくない。 でも誠は…?誠はどうだろう? 傷ついた女の子を慰めてる内に好きになって付き合うって、結構あるパターンだ。 しかも、1度は好きになった相手なんだろうし…。 誠があの子と付き合ったらどうしよう。 俺は当然ここにいれなくなるし、もう誠に甘えられなくなるのか…。 それってすげー…すげーすげー嫌だな。 「快人ー?食欲ない?」 「え?」 誠に呼び掛けられて気づいたけど、俺全然箸が進んでない。 誠が作ってくれた、俺の好みのうどんなのに。 「く、食うよ」 「無理すんなよ」 今度はうどんを啜りながら考えることにした。 俺、誠が好きなのかなぁ。 誠と付き合いたいのかな。 でも、付き合えるはず…ねえよなぁ。 俺の復讐計画、結構年数かかるし。 誠と、ずっと今のままの曖昧な関係でいられたらいいのに…。 俺、ずるいな。 誠にずっと好かれていたいなんて、そんなのズルすぎる。 * * * さすがに何日も約束を先伸ばしにする訳にも行かない。 いつも休日でも夜しか会わなかったけど、光希さんに請われて昼間から光希さんのマンションを訪れていた。 「っ…も、きついって…」 「快人、まだ3回目だよ?こんなんじゃお預けされた分、足りないー」 相変わらずしゃべり方はワンコみたいな光希さんは、ベッドの上では超がつくほどの肉食になる。 一度始まると必ず3度は立て続けにヤられる。それでも尚足りなさそうにしているというとんでもない絶倫なのだ。 俺が光希さんを白と言えない理由はこれだ。性欲が強すぎる。 「んっ…はあっ、あっ…」 「あれ?快人、奥の方も感じてる?ほら、ここ」 「やっ…だめ、だめ…っ」 「やっぱりいいんだ!奥まで入れていい?」 「ひゃっ…はげし…ッ」 言葉通り挿入がいつもより深くなり、奥を強く突かれてガクガク揺さぶられた。もう既に2回出されてる中からはぐちぐちと情交を煽る様な音がしていた。 いいところを狙って突いたりとかはあんまりしないけれど、光希さんはともかく激しい。絶倫で何回もできるからか、じっくりセックスを楽しむという感じではなくて、強い欲をぶつけられている様な感じだ。男なんて突き詰めればみな吐き出したいという欲求で動いているんだと思うけれど、光希さんのそれは乱暴なまでにストレートだ。 「快人に全部入れたら気持ちよすぎっ。またいっちゃいそ。快人も一緒にいこ?」 光希さんに前を擦られて、もう限界だったそこはすぐに弾けた。 光希さんも後を追うようにまた中で出した…のに、また動き始めた。 「っ…ちょお、光希さ…ッ」 「まだまだ元気なんだな」 ニヤリと笑った光希さんの顔を見て気が遠くなりそうになった。 光希さんといる時は、余計な気を遣わないから精神的には楽だけど、肉体的には一番きつい。 いつもは大抵3回でやめてくれるのに、今回はあまりに約束をずらしすぎたから溜まってるのかもしれない。 でも、さすがに4回目を出した後も出ていかないのには文句を言った。 「光希さん、いい加減、ぬいて…」 「快人…ちょっとこのまま休憩したいな。動かないから、入れてていい?」 「ッやだよ!俺ガバガバになっちゃうだろ!」 「ならないよ。快人のはいっつも締まってて最高に気持ちいいもん。今もキュウキュウ俺の締め付けて、動いてくださいって言ってるし」 「言ってないです!」 「あぁ、動かないなんてやっぱ無理だー!」 横抱きのまままた動き始めた光希さんに啼かされて、結局その日は何回出されたかわからない。 一度今度こそ休憩と言って二人で眠ったけど、夕方に起きてからまた何回かヤられた。 いつもなら絶対ここまでさせてあげないけど、今回は光希さんへのお詫びも兼ねてるから強く拒まなかった。 本当は、夜遅くなったとしても誠のアパートに帰りたかったのに、体力は根こそぎ奪われてしまって、そのまま光希さんのベッドで夜を明かした。

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