10 / 13
愛のばくだん……浩志サイド
俺の好きな奴は素直じゃない……
今日で何日目だろうか?俺がミナミに触っていなくて……
いや、触ってはいる。夜遅くに帰ってくるから、ミナミは俺を待ちながらソファーで寝てしまっているから、抱え上げてベッドに寝かせる。そのまま俺もミナミを抱き枕のように抱き締めて眠る。
そして、ミナミよりも先に起きてまた、仕事に行く。
そんな毎日を繰り返して、ああ!!考えたくない!!
触れられるだけマシ!!今日なんて、触れない。
なんせ、会社に残っているから。
くそがあああ!!!社畜めえええ!!
呪いの言葉を呟きながらパソコンのキーボードを叩く。
「柳川くん、キーボード壊れるから!!」
真後ろで声がしたが振り向かずに、
「主任、俺、新婚なんすよね?知ってました?」
「は?まじ?いつ結婚したんだ?何で言わなかった?あれ?式は?」
「やってないですよ。知ってますよね?くそ忙しいって……俺、この仕事辞めようかと思うんですよ。新婚なのに家に帰れないとか社畜だと思うんですよね?」
「や、柳川くんが辞めたら困るよお!!」
「主任が仕事すればいいだけじゃないですか?俺、新婚なんです!!大事なので、何度も言いますね」
「わ、分かった、有給申請にハンコ押したらいいんだね?」
「そういう事です!!申請、随分前から出してましたけどね」
「い、忙しいからさ」
「とりあえず、いま、ハンコ押してください!」
「分かったよ」
主任はしぶしぶ、有給申請の書類にハンコを押してくれた。
だいたい、普通の会社なら直ぐ取れるのに、本当に辞めてやろうかな?
そんな事を考えながら、パソコン作業を進めた。
まあ、とりあえずは有給取れるからな……
とっとと、仕事片付けるか。
◆◆◆◆◆
朝、帰宅。
ミナミは仕事行ってるかな?
そう思いながら部屋の鍵を開けて、中へ入る。
ミナミの靴がある。
あれ?まだ、仕事行ってないのか?
遅番かな?なんて思いながら寝室を覗くとまだ、ベッドに寝ているミナミを発見。
やっぱ、遅番か……
そっと近づき寝顔を見つめる。
近付いて気付く。なんか、息が荒くないかミナミ?
頬もなんか赤い……手を伸ばしてミナミに触れると熱い。
マジか!!!
額に手を当てるとかなり熱く感じる。
こいつ、熱あんじゃねーか!!!
体温計どこだっけ?
慌てて、体温計を探してミナミの元へ戻ってきた。
熱を計るシャツのボタンを開けて体温計を脇の下に刺す。
「ん?……こう……し?」
薄らと目を開けて俺を見るミナミ。
「うん、いい子だから、動くなよ」
俺に気付いて起き上がろうとするミナミを押さえつける。
「なに?」
「熱計ってんだよ」
「熱?誰の?」
「ミナミの」
「俺?……ないよ?この部屋……熱い」
熱のせいだと思っていないミナミは熱いと暴れ出す。
押さえつけようとすると体温計がピピッと小さい音を出す。
ミナミの脇の下から体温計を抜いて確認すると、
マジですか!!!39度!!!
俺はミナミを抱き上げる。
「なに?」
「いい子だから暴れんなよ?」
身体がかなり熱い。こいつ、いつから熱あったんだ?
帰れないとLINE送った時は直ぐに返事がきて、りょーかい!!って。
あの時から熱あったのか?
本当にコイツは……
ミナミを車の後部座席に寝かせて、病院へと車を走らせた。
ともだちにシェアしよう!