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「インフルエンザの疑いはないよ、風邪をこじらせただけみたいだから点滴終わったら連れて帰っていいよ」 ミナミの診察が終わり、そう言われた。 インフルエンザじゃないみたいだったからホッとしたと同時に風邪……いつから引いてたんだよ?コイツって思った。 咳とかしてたっけ? いや、そもそも、忙しくて会話もして無かったよな。 LINEで話すくらい。あ、いや、LINEは文字のやり取りだから会話らしい会話じゃない。 忙しいを理由に自分の大切な人のピンチに気付けなかった自分が嫌になってくる。 ミナミの側にいき、寝顔を見つめる。 点滴の管が通されて痛々しい。 連れて帰れるなら良かった……それだけ軽いって事。でも、辛いのは同じ。 「本当、ごめんなミナミ」 俺はミナミの頭を撫でた。 ◆◆◆◆◆◆ 病院から連れて帰ってきても、ミナミは爆睡して起きなかった。 帰っていいよって医者に言われたものの、車での移動とかを含め、ピクリともしなかったミナミにちょっと不安になる。 本当に大丈夫なのかな? オデコを触ると、瞼がぴくぴくと痙攣したように動き、ミナミが目を開けた。 「ミナミ……」 目を開けてくれたから、安心した。 このまま、目を覚まさなかったらどうしようって!! 凄く凄く不安だった。でも、ミナミは俺を見ている。 「おかえり」 俺をみたミナミはそう言った。 「なにが?」 「仕事……」 あ、そうか、熱計った事とかミナミ覚えていないんだ……。 「うん、ただいま」 俺が返事を返すと、起き上がろうとした。 「ダメだって」 起き上がるミナミの身体を押さえる。 「なにが?……ご飯、食べるでしょ?それとも、食べてきた?」 ミナミ…… 本当に、コイツは!!! 「ミナミ、記憶ないかもだけど、お前、すげえ熱あって、病院連れて行って、帰ってきた所だぞ?」 「えっ?」 キョトンとするミナミ。 「インフルエンザでは無かったから良かったけど」 「嘘……いま、何時?」 「いま?深夜3時かな?」 「本当に?」 「うん」 「じゃあ、浩志、寝ないと仕事が」 ミナミは自分の事よりも俺を心配する。 「明日は休みだよ。だから、安心しろ!」 「休みなの?」 「うん」 「そっか……良かったね。忙しそうだったから、身体壊すんじゃないかって」 いやいやいや、今はお前の方が大変だろーが!!! 「ミナミ、俺の心配はいいから寝ろ」 「浩志は?」 「俺も寝るから」 俺がそういうと納得したのか、眠かったのかまた、眠りについた。 有給取って良かったな。 いま、心底そう思った。 ◆◆◆◆◆ 「こ、浩志やばい、寝坊した!」 身体を揺すられて目を開けるとなんだか焦っているミナミがいて、そんな事を言う。 「昨日、休みだって言ったけど?」 俺は身体を起こす。 「えっ?そうだっけ?」 「そうだよ」 俺はミナミの額を触る。 「なに?」 不思議そうに俺を見るミナミ。昨夜の会話は全部忘れてるのかな?って思った。熱高かったしな。でも、ちょっと、下がってる気はする。 「体温計持ってくるから熱計ってみろ」 俺はベッドから降りる。 「えっ?なんで?」 やっぱ、一から説明かな? 俺はとりあえず、もう1度ミナミを病院に連れて行った事を話した。 「ごめん」 話を聞いたミナミはそう言ってへこんだ。 なんで、へこむんだよ、全く!!

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