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三都幻妖夜話(3)神戸編 26-7 トオル | 椎堂かおるの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
三都幻妖夜話(3)神戸編
26-7 トオル
作者:
椎堂かおる
ビューワー設定
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26-7 トオル
水煙
(
すいえん
)
がどんな顔してんのか、見たいみたいに、
朧
(
おぼろ
)
様は
脇
(
わき
)
から
覗
(
のぞ
)
いて、じろじろ冷やかす目になった。 それにも
水煙
(
すいえん
)
は、フンて感じで
背
(
せ
)
を向けていたけど、ええかげんにしてくれやった。
抱
(
だ
)
っこさせられてるほうの身にもなれ。いくら軽いいうても、俺はお前の乗り物やないんや。さっさと
降
(
お
)
りろ。 アキちゃんと
違
(
ちご
)
て、俺はお前をずうっと
抱
(
だ
)
っこしてたい
訳
(
わけ
)
やないんやぞ。 「それはそれは、ご
期待
(
きたい
)
どおりに行かずで、
済
(
す
)
まんことやったなあ」 ツンツン答え、
水煙
(
すいえん
)
は
早
(
はよ
)
う
風呂
(
ふろ
)
に行けというふうに、ぐいぐい俺の首を
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
っていた。 馬か、俺は。 「
亨
(
とおる
)
ちゃん……
油断
(
ゆだん
)
しとったらあかんで。昔聞いた
限
(
かぎ
)
りでは、こいつのケツにはなあ、
病
(
や
)
みつきなるような
機能
(
きのう
)
があるみたいなんやで。ほんまに
穴
(
あな
)
ないの? どないしてやるんや……」 セクシャル・ハラスメントやで、
朧
(
おぼろ
)
様。ひとつ屋根の下に
棲
(
す
)
んだら、
水煙
(
すいえん
)
は、
怜司
(
れいじ
)
兄さんにえげつない
嫌
(
いや
)
がらせされるでって、
信太
(
しんた
)
が笑って言うていたけど、ほんまやな。ほんまやった。 俺が思ってたようなのとは
違
(
ちが
)
うけど、
確
(
たし
)
かに
嫌
(
いや
)
がらせといえば、そうかもしれへん。
水煙
(
すいえん
)
、
嫌
(
いや
)
がってたから。
怜司
(
れいじ
)
兄さん、どうしても気になるんかな。また、おもむろに、
水煙
(
すいえん
)
様のケツを
掴
(
つか
)
んでいた。 うわあ、ええのか。たぶん
神聖
(
しんせい
)
なケツやのに。 アキちゃん見てたら、
気絶
(
きぜつ
)
する。 「あ……
阿呆
(
あほ
)
ッ。
触
(
さわ
)
るな言うてるやろ!」 ちょっと
震
(
ふる
)
えちゃうみたいな声で言い、
水煙
(
すいえん
)
様は全身ビクッとしてた。 どこ
触
(
さわ
)
ったんや、
怜司
(
れいじ
)
兄さん。 やめてえ、俺が
抱
(
だ
)
っこしてる時に、いきなりそんな
行為
(
こうい
)
に
及
(
およ
)
ばんといてくれ。俺まで参加してるっぽくなるやん。 「助けろ、
水地
(
みずち
)
亨
(
とおる
)
」
逃
(
に
)
げろって俺に命令してきて、
水煙
(
すいえん
)
はなんかを
堪
(
こら
)
えてるような顔してた。 ははぁん、なんやろ。
亨
(
とおる
)
ちゃん、わっからへん。 「
亨
(
とおる
)
ちゃんは俺の
味方
(
みかた
)
やろ? 助けてやる
義理
(
ぎり
)
なんか、何もないよな?」 にやにや俺ごと
抱
(
いだ
)
いてきて、青い
宇宙人
(
うちゅうじん
)
をサンドイッチにしている
朧
(
おぼろ
)
様は、耳元に
囁
(
ささや
)
く声で、それを
確
(
たし
)
かめた。 うん、まあ、無いな。
確
(
たし
)
かに無いけどな。 でも俺、こういう
趣味
(
しゅみ
)
もないな。
宇宙人
(
うちゅうじん
)
に、
悪戯
(
いたずら
)
しちゃう
趣味
(
しゅみ
)
はない。 「気持ちいい? ほんまに
穴
(
あな
)
無いな。どなしてやったんや、
暁彦
(
あきひこ
)
様と。
逃
(
に
)
げても
無駄
(
むだ
)
やで、俺は
位相
(
いそう
)
を
渡
(
わた
)
れる神や。気に食わん
奴
(
やつ
)
には
触
(
さわ
)
らせへんて、そういう
訳
(
わけ
)
にはいかんのやで」 ねちっこいなあ、
朧
(
おぼろ
)
様。ごそごそしてる。
水煙
(
すいえん
)
ちょっと、
太腿
(
ふともも
)
が、わなわなしてる。 なんかちょっと、変な気分になってくる。 エロいなあ、
朧
(
おぼろ
)
様。こんなんして
迫
(
せま
)
られたら、
確
(
たし
)
かにアキちゃんみたいな初心(うぶ)な
奴
(
やつ
)
なら、いちころか。 「やめてくれ……お前なんか
嫌
(
きら
)
いや」
堪
(
こら
)
えたような小声で、
水煙
(
すいえん
)
はそう言うていた。 いつも
深遠
(
しんえん
)
な黒い目が、ちょっと
潤
(
うる
)
んで見えてたわ。
偉
(
えら
)
そうに言うてみたところで、
水煙
(
すいえん
)
は、
足腰
(
あしこし
)
萎
(
な
)
え
萎
(
な
)
えの神。自分では
逃
(
に
)
げられへんのや。 相手が自分の
霊威
(
れいい
)
を
畏
(
おそ
)
れないんやったら、されるがままで、どうしようもない。
哀
(
あわ
)
れやなあ。助けへんかった俺が悪いんか、
水煙
(
すいえん
)
兄さん、
朧
(
おぼろ
)
様に、さんざん
恥
(
は
)
ずかしい目に
遭
(
あ
)
わされちゃったみたい。 「俺、いっぺんお前のこと、
肥溜
(
こえだ
)
めに
捨
(
す
)
てたったことあったよなあ。ごめんなあ。こんな
可愛
(
かわい
)
いケツなんやて知ってたら、そんな
酷
(
ひど
)
いことしいひんかったのに。もっと
嬉
(
うれ
)
しく泣けそうなこと、いろいろしてやったのになあ。ええ
気味
(
きみ
)
やろなあ、お前がひいひい
喘
(
あえ
)
ぐの見られたら」 青いほっぺに、ちゅう、と音するキスをして、
朧
(
おぼろ
)
様はおイタをやめた。 にやにやしていた。楽しかったらしい。 「
感度
(
かんど
)
ええで? ツボはある。変やなあ、なんで
穴
(
あな
)
はないんやろ」 しみじみ
不思議
(
ふしぎ
)
そうに言うて、
怜司
(
れいじ
)
兄さんは
興味津々
(
きょうみしんしん
)
みたいやった。
宇宙人
(
うちゅうじん
)
、好きなん? ラジオUFO
特集
(
とうくしゅう
)
か。
水煙
(
すいえん
)
は、よっぽど
屈辱
(
くつじょく
)
やったんか、
怒
(
おこ
)
った顔して、わなわな来ていた。 もう
怒鳴
(
どな
)
る地点を
通
(
とお
)
り
過
(
す
)
ぎてんのか、ぐっと
堪
(
こら
)
えて、口もきかへん。 えー。ちょっと、
可哀想
(
かわいそう
)
やったかな。
逃
(
に
)
がしてやればよかった? いやいや、つい
静観
(
せいかん
)
してもうた。なんか見たくて。えへっ。 「今度、三人でしよか。
亨
(
とおる
)
ちゃんのも
舐
(
な
)
めたるよ。気持ちええでえ、どんなのが好き?」 耳に息のかかる近さで、
怜司
(
れいじ
)
兄さんに
囁
(
ささや
)
かれちゃって、ちょっぴりモジモジしちゃったよ。 えー、どんなんが好きかなあ……って、前向きに
検討
(
けんとう
)
してる場合やないな。 俺はぶるぶる首を
振
(
ふ
)
ってた。
拒否
(
きょひ
)
したというより、
己
(
おのれ
)
のエロエロ
煩悩
(
ぼんのう
)
を
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
ってただけ。 「せ、せえへん……やめといて。チーム
秋津
(
あきつ
)
は
健全
(
けんぜん
)
やから!」 「そうなん? つまらんなあ……気持ちええのに。
本間
(
ほんま
)
先生より俺を愛しちゃうくらいやで?」 にこにこ
悪気
(
わるぎ
)
なさそうに言う
怜司
(
れいじ
)
兄さんは、本気みたいやった。 ええよ言うたら、本気でいっとくっぽい。 俺は
焦
(
あせ
)
って、ますます首ふるふるしてた。
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椎堂かおる
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