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第3話
塾も終わり時間は22:00を過ぎていた。
前には黒のベンツ。
そうか。
今日は水曜日か。
またこの時間がきた。
* * *
「本日もお疲れ様です。励様。」
俺はなにも言わず車に乗り込み
使用人は車を走らせる。
「本日はまた違うものをご用意させていただきました。こちらも慣れると効果は薄れます。どうかご無理はなさらないでください。」
淡々と車のなかで使用人は話す。
だが、それと同時にまるで何かから解放されたかのように俺の体は熱をおびはじめた。
「わかった…。悪いが、とばして…くれ。
から…だ、が…。」
「…かしこまりました。」
そう促された間も俺の体は更に熱をおびる。
Ωには月に1度「発情期」がくる。
その発情期を押さえるために抑制剤が医者から処方されるが完全に押さえられるわけでもない。
更に言えば副作用として過剰な匂い、
いわゆるフェロモンを発してしまう。
しかしそんな体をもつ俺がみんなをαだと思い込ませ続けれたのは
これから先にある俺専用の薬のお陰だ。
医者を雇い、俺の体を調べその体に合う薬を処方する。丁寧に作られているためその薬を打てばそこから発情期は長期にわたり起きなくなる。
しかし副作用が酷く、さらに生まれてから使い続けてるため効果は薄れ更に強い薬に変え続けている。
依存性も高く最近では週に1度は打たないとからだが持たない。
夜に打てばそこから三時間で治療はすむが
その週一を怠ればどうなるか想像しただけでもおぞましくなる。
番さえ見つかれば
この体で悩むことは無くなるのだろうか。
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