6 / 8

第6話

「はぁ…はぁ。」 あれから3時間。 快楽に溺れ続けた俺にも自我が蘇る。 「っく…。ぐず…。」 なんの意味も持たない涙。 だが何故だか流さずにはいられない。 「良く耐えたね。 私の我儘(わがまま)に付き合わせて本当にすまない。 私が不甲斐ないばかりに。」 謝らないで 「大丈夫だよ。父さん。 僕は小さいときこの世の終わりだと思って生活してたんだ。 それを救い出してくれたんだから。 それに僕は父さんを誇りに思う。 だから父さんの面子も潰したくない。 それに母さんもこんな僕を育ててくれたんだ。 母さんの分も俺は生きたい。 いきる力を与えてくれた父さんと母さんのためにも 『春日』という名に恥じないためにがんばるから」 俺は父さんと肩を並べるぐらい立派な弁護士になる。 「お前のためにも早く番を探してやるから。」 番…。 Ωは月に1度発情期がくる。 1度発情すると体からフェロモンが溢れでてαを誘惑してしまう。 しかしそのαがΩの首筋に噛み痕をつけることでそのαにのみしかフェロモンが感じなくなる。 更にΩには発情期が来なくなり 生活ではβと何ら変わり無くなる。 これを俺たちは「番」と呼んでいる。 中では「運命の番」という人もいるが 決してすべての人が報われるわけではない。 発情期のフェロモンに当てられると αは無我夢中でΩを犯す事がほとんどだ。 よってαの体力に逆らえるはずのないΩはなす統べなく番にされることもある。 そしてそのまま捨てられることも。 唯一の救いが 発情期が来なくなること ぐらいだろう。 しかし、一人のαが多くの番を作ることでΩは精神を病み快楽を貪る屍と化すとも言われている。 だからこそ父は真剣に番を探しているのだろう。 でも知らない誰かにこの先の未来を託す事になるなら俺はこの身を削ってでも一人でやる

ともだちにシェアしよう!