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CIGAR×SUGAR×VINEGAR 6

 次にベッドを買う時は、やっぱりキングサイズにしよう、と笑うと、びくりと目の前の腰が揺れた。  目の前で揺れるものを口に含み言葉をかける度に、中心にもどかしい刺激が走るのだろう。立てられた膝が震えて、アマミヤの腰が落ちそうになる。 「……ひ、……っん、ぁ……ニール、喋、や……っ」 「ん……センセイは、どこも本当に弱いな。焦らされるのも好きだろう? 咥えられて、喋るのも、舐めるのも。俺は咥えられて喋られるの、割と好きだけど。……気持ちいいしもごもご喋るセンセイはかわいい」 「ん、ぁ、何、それ、マニアック……あ、だめ、ソコ……っ」 「……センセイは括れの後ろが弱い」 「……、ぁ……っ」  コリコリと、きもちいいだろう所を指でつまんで刺激する。途端に腹の上に上半身が落ちてきて、ニールの股間にアマミヤの頬の感触が伝わった。  ベッドの上に仰向けに寝そべったニールの上に、シックスティーナインの姿勢でアマミヤは乗っている。初めは酷く恥ずかしがっていたが、無理矢理乗せてフェラを始めると、快感に腰が揺れ始めた。  アマミヤは本当に快楽に弱い。それが嬉しくもあり、若干の不安でもあるが、今のところは本当に盲目的に恋をしてくれているようなので、疑うことはやめようと思った。  ニールをこんなに愛してくれる人間は、他にいない。少なくとも、今までは居なかった。  格好良いと言われたことはあるが、かわいいと言われたのはアマミヤが初めてだ。  そんなわけあるかこんなニコチンモンスターで面倒くさい男、と自分では思うが、その響きはやけに嬉しくて、不思議だった。  外見や金ではなく、きっとニールの全てが可愛いと言う。面倒くさい格好つけなところも、少し気障で正直すぎるところも、全部好きだと笑うものだから、その盲目さと許容範囲の広さにまた惚れなおした。 「センセイ、俺のは舐めてくれないの?」  悪戯っぽく促すと、すっかり立ち上がったそれをアマミヤの細い手が掴んだ感触がする。そのままゆるゆると手を動かされて、くすぐったいような甘いもどかしさの後に、ぬるりと暖かい口内に包まれた。  アマミヤは口でするのがうまい。それもまた、ニールの嫉妬心を燃やし、ついつい焦らして鳴かせてしまう。  じゃあやらせなければいいのではないか、と思うのだが、恥ずかしそうに奉仕する姿もまたたまらないので、本能的にねだってしまう。  相変わらず的確に舌を使うのが気持ちよく、腹立たしく、目の前で揺れるアマミヤのモノの先端を舐めあげた。  その瞬間に、びくりと身体が揺れる。その敏感さも悪くない。 「……先っぽが好き? 舐められるのと、指でされるのと、どっちがいい?」  低く、アマミヤが好きだという声で囁く。声が良い、という自覚はある。ニールの仕事上でも、声の効果が大半じゃないのかと思っていた。  何処が良いのか、自分ではよくわからないが、魔法のような声だと言う。低くてあまりカツゼツがいい方ではない。それなのに顧客は魔法にかかった様に高級サプリメントの説明に耳を傾けるし、ベッドの上の恋人は甘く喘いだ。 「どっち?」  容赦なく亀頭の先端を濡れた指で撫でる。一番敏感な部分を柔らかく刺激され、耐えられないというようにアマミヤはニールのモノから口を離した。 「……っ、ぁ、やだ、それ……、おかしく、な……」 「この前はどっちだった? ずっと先端を舐めまくってたんだっけか。……あの時のセンセイは、ビクビク震えて身体中真っ赤になってわけわからなくなってて、最高に可愛かった」 「あ、だって、あんなの、酷……ニール、やめてくれない、から、」 「気持ち良くなかった?」 「…………きもち、よかったけど」 「じゃあ構わないだろ。俺も気持ちいい。センセイも気持ちいい。何の問題もない。だから今日も死ぬほど気持ちよくなったらいい。……思う存分、乱れて良い。俺が変質的なだけで、センセイは何も悪くないんだから、ほら、こういうのとか、」 「っ、あ、ちょ……っ! ダメ、だめ、後ろ、一緒にしたらイク、から……!」 「中、熱いな。ローションでぬるぬるだ」  亀頭に指を這わせながら、空いた方の手で蜜を開く。  するりと飲みこまれた指をゆっくりと動かし膨らんだ壁を擦ると、耐えきれない甘い声が上がった。  たまらない、と言ったように目の前の腰が揺れる。びくびくと痙攣する太股が愛おしく扇情的だ。  アマミヤは後ろの刺激に弱い。  少しだけ調べたところによると、確かに男性は前立腺で快感を得る事ができるが、多少は慣れと時間が必要だということだ。  アマミヤが乱れる度に、彼を開発した過去の男への嫉妬心が沸き起こり、酷く攻め立ててしまう。最初は快感に対してダメばかりを連呼するアマミヤも、そのうちたまらなくなってもっとと求めてくる。  その声が好きで、ニールの指は意地悪くアマミヤの声を引き出すために動いた。 「ひ、ぁ……、……っ、…………あ、もう、そこばっか……」 「好きだろ? ここを、ゆっくり擦ると、センセイの腰がびくびくする。きもちいい?」 「や……ぁ……、きもちい、けど……もっと、ちゃんと……」 「ちゃんと擦ってるだろ。足りない?」 「……たりない」 「どっちが? 中が? それともこっち?」  中のしこりを擦りつつ、目の前で揺れるモノの先端を唇で含み舌を柔らかく動かす。甘い息が、ニールのモノにかかる。 「あ、っ、……ばか、や……っ」 「じゃあ、やめる?」 「……いじわる。ばか。きちく。どえす。……すき、どっちもして……」 「今日のセンセイは素直すぎてとんでもなくかわいいな。たまには自宅以外でするのもいいのかもしれない」 「ん、ぁ、指、それ……、ぐりぐりってするの、すき、ぁ、中、すご……」 「叩くのより、擦るのが好きだよな。こんな風に」 「……っ! ん、……ぁ、や、いっちゃ、う、から……っ」  上り詰めそうな気配を察し、唇を離し中の指の動きも止める。その瞬間、ぐったりと上半身が落ちてきて、荒い息が聞こえた。  イきそうになると動きを止める。これを何度か繰り返すと、アマミヤの腰は理性に反して勝手に揺れるようになる。ニールが指を動かさなくなると、その指に擦りつけるように腰が動き、一人で快感を追いかけはじめる。  そうなるとニールは指を引き抜き、アマミヤが動けないように正面から押し倒した。  アマミヤは上に乗るのが好きらしいが、ニールは正常位が好きだ。真っ赤でとろとろになった顔が見えるし、思う存分好きに責められる。足を大きく開いた状態のアマミヤは酷く恥ずかしそうにするし、その顔もまたいい。 「……いれていい?」  ゴムの派手な色の包装を破き、するりと被せてからアマミヤのそれに重ねて何度か前後する。  ローションと唾液で濡れたせいで、上を滑るだけで卑猥な水音が響いた。真っ赤な身体が、より一層染まった気がする。 「いやなわけ、ない、でしょ……、ばか、も……早く、埋めて……擦って。貴方で、気持ちよくなりたい」  真っ赤に染まった肌のまま、そんな殺し文句を吐くからアマミヤは怖い。うっかり崩れ落ちてしまいそうになりつつも、どうにか深呼吸をして耐えた。  顔が赤いのは、興奮だけではない筈だ。それはお互いに言えることだけれど。 「……っぁ、……あっつ……、あ、やだ、ちょ、いきなり、そこばっか……!」 「…………悩殺してくれたお返しだ。ここでイくと、センセイは最高に良い顔をする」 「やだ……! あ、気持ち良すぎ、て、馬鹿、駄目、もっと奥、していいのに……っ」 「うん。でも、センセイは、この辺がすごく好きだろう?」  奥まで進んでしまうと、前立腺を通り過ぎてしまう。半分埋めるくらいの気持ちで、真ん中あたりのしこりを突くと、掴んだ腰がびくんと跳ねた。 「好き、だけど、だって……、ぁ、ソコばっかり、あ……!」 「あー……かわいい。最高に、かわいい。ここを中から突くと、センセイのペニスがビクビクする。……顔もとろとろだ。きもちいい?」 「いい、ぁ、は……っ、いい、けど、あ、待って、もう、よすぎて、いっちゃう……、ふ、ぁ」 「良いよ。俺ので突かれてイってごらん。気持ち良くて、たまんなくなってるセンセイは、すごくかわいい」 「ひ、ぁ………っ、ん………………ッ、ぅ……」  びくびく、と背中を逸らし、アマミヤの中心から精液が漏れだす。その光景はまた扇情的で、ニールを欲情させた。  射精による締め付けを感じつつ、ほんの少し待ってからゆっくりと腰を埋める。 「ぁ、……あ、待ッ……イった、から、駄目……ちょっと、待っ、」 「嫌。……出したばかりのセンセイがエロくていいんじゃないか」 「ん!? ひ、ぁ……っ! ヤ、奥、揺す、っ!」  奥までゆっくり埋めた後に、そのまま円を描くように揺する。擦れるような刺激がいいらしく、アマミヤは息をつめて喉を逸らせた。 「っ、は、……ぎゅうぎゅうだ……こうやって、腰を回されるのは、嫌い?」 「……っ、すき、だけど、すぐは、駄目だって言っ……、ぁ、や、すご……、っ、イイ、それ、ぁ」 「素直なセンセイも、好きだよ。……っ、……あー……だめだ、頭が馬鹿になってるな、俺も……かわいい、ってことしかわからない。かわいい。好きだ。……愛してる、なんて思ったのは、初めてかもしれない」  多分、姉の事は愛している。好きかと訊かれたら分からないと答えるかもしれないけれど、確かに家族としての愛はあった。  アマミヤの事は好きだ。そして、愛していると思う。一緒にいるだけで満たされる。これはつまり、恋と言うより愛なのかもしれない、と、最近は思い始めた。  まだこれから関係は変わるかもしれない。年を重ねるうちに、環境も変化するだろう。その中で、どこまでこの気持ちが変わってくるのか、ニールにはわからないが。  シーツを掴むアマミヤの手を自分の手に絡めて、深く穿ったままキスをした。 「……っ、ぁ……ふ、……」 「……どうしよう、好きだ。こんなにハマるなんて、思って無かったよ。今センセイに振られたら、正直子供みたいに泣くかもしれない」 「馬鹿……僕だって好きだよ。いつだって、愛想尽かされたらどうしようって、不安になるくらいなのに。でも、こうやって、好きだって言ってくれるから。僕は、幸せだって笑える」 「…………泣きそうになった。センセイは、ずるい」 「それはこっちの台詞、……っちょ、話の、途中……っ、ニール、ずる……っ、ぁ」  感動を隠すように、腰を穿つ自分は確かにずるい。格好つけるのをやめようと思っても、やっぱり恥ずかしいところは見せたくない。  これは多分性格だ。そんなとこも好きだよと、笑ってくれるアマミヤに甘えるしかない。  照れ隠しで中を擦り、甘い声を上げさせる。  身体を倒したせいで、アマミヤのモノが腹に擦れてくすぐったい。それ以上にアマミヤはきもちいいらしく、必死に手をほどこうとする。きっと、自分で握りたいのだろう。それがわかっているから意地悪く手を絡めたままで、耳元で囁いた。 「……、……センセイ、触ってほしい?」 「っ、ふ、は……っ、ぁ、……あ、触って、ニール……貴方の手で、触って、ほし……」  そんな風に言われてしまえば、焦らすこともできない。  甘い言葉に誘われるように、喘ぐ喉元に歯を立てながら、ニールは起立したアマミヤのものに指を絡めた。  すっかり濡れたモノが愛おしい。熱をもった先端を握り込む。一度精を放ってるそれは、ぬるぬると滑りよくニールの手に擦られる。 「あ、ふ……、ぁ、っ、あ、いい、ソレ、すき……っぁ、ニール、奥、もっと、していいから、イってほし……」 「辛くない? ……っ、大丈夫なら、ちょっと、動く」 「ん、ぁ……いい、好きにしていいから、もっと、ぁ……っ」  腰を掴んで、膝に力を入れる。奥まで突くと少しだけ辛そうにするのが分かるけれど、上がる嬌声に、理性は飛んだ。  耳に届くのは切れ切れの甘い声と、卑猥な水音だ。かわいい、ときもちいい、を飽きるほどに囁く。耳を噛んで、舌を這わせて、腰を掴んで、だらだらと蜜を零す性器を握り、喘がせた。  一度放っても、まだ足りなくて、そのまま腰を前後させると流石にアマミヤも休憩が欲しいと言ったが、濡れた腹筋を撫でればすぐに嬌声が上がった。どこもかしこも敏感な肌は、すっかりいかれてしまっている。  その夜ニールは、思う存分アマミヤの身体を酷使し、甘い声と懇願を堪能した。

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