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第5話 不名誉なあだ名の理由5(西尚親)
尚親くんは今までと別人かのように、それはもう優しく抱いてくれた。正常位ってだけで、俺と尚親くんの間では特別だ。
だが、そんな生温いえっちでは満足できないのか、俺がイかされるばかりで、一向に尚親くんは達しない。いつも暴力的な性行に半ばイき堕ちしている俺が気づいていないだけで、いつも俺じゃイけてなかったとか?
まさか。じゃあ、いつも襲ってくる意味がわからない。それに、身体の相性はいいと言っていたじゃないか。
それも問題だが、今一番の問題は、俺が既に三回もイっているということだ。
さすがにそろそろ解放して欲しい。そのためには、なんとか尚親くんにイってもらわなくては。
「ねえ、そろそろ学校しまっちゃうよ。もう……」
「はぁ?俺は全然満足できてないんだけど?お前ばっかイきやがって」
「なにっ?やっ……んんっ」
そういうと、繋がったまま俺を抱き起こし向かい合わせになる。俗にいう対面座位……。
自分の体重がかかり、ずぶっと奥まで尚親くんのモノが奥まで入ってくる。だれともしたことのない体位で、気持ちいいやら、恥ずかしいやらで戸惑う俺に、尚親くんは催促をするように下から突き上げた。
「ほら、手伝ってやるから、自分で動け。俺をイカせられたら終わりだ」
にやにやしながら緩くゆらゆらと腰を揺すり、俺の様子を伺っている彼は酷く楽しそうで、格好いいものだから、逆に腹がたつ。
意を決して腰を浮かせると、尚親くんのモノがずるずると抜けていく。背中に快感が伝い、少し抜けただけなのに腰が落ちてしまう。
「うう~……んっ」
再挑戦するが、一番気持ちいいところが擦れる前に腰が落ちてしまう。実は、アナニーをしたことがない。──まぁ、日頃から本物が穴を埋めてるからなんだけど──何が言いたいかというと、自分で自分の前立腺を弄ったことがないのだ。
そんな俺が、他人のモノを使って自分の前立腺を擦るなんて、ハードルが高すぎる。
こんなんじゃ、尚親くんをイカせるどころか、自分さえイけない。閉門どころか、朝になってしまう。
ちょっと抜いては中に戻すことを繰り返していた俺だが、焦りや情けなさにとうとう涙腺が崩壊してしまった。
「も、無理!できないぃ」
ぺったりと自分の上にお座りし、泣き言を言い出す俺に呆れたのか、尚親くんの深いため息が聞こえた。
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