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第6話 不名誉なあだ名の理由6(西尚親)

「できなくねぇよ。ほら、手伝ってやるから」  尚親くんはそういうと、俺の腰に手を添えた。そして、探るように前後に動かしなんなく俺の中の気持ちいいところを探り当てる。気持ちよさにぎゅっと締め付けてしまい、彼自身もそれに反応してびくんと震えた。 「ここだ。わかったら、自分で動いてみろ」 「わかっ……た」  本当は彼の思うままに激しく動いてもらいたかったが、自分がいままでどれだけマグロでいたか気づいてしまい、なんだか申し訳ない気持ちになっていた。  今日は、俺が尚親くんを気持ち良くさせる。そうすれば、もしかしたら……付き合ってくれるなんてことも、あるかもしれない。  そんな淡い期待も伴い、もう一度挑戦することを決めた。気持ちいいことは好きなのだから、恥さえ捨てれば大丈夫なはず。  そうだ、気持ち良くなることだけ考えよう! 「あっ、あ。抜けちゃう……」  俺の中から彼自身が抜けるギリギリまで腰を浮かせると、気持ちいいところ擦れるよう狙いを定め勢いよく腰を下ろした。 「あっ、やっ、あああああああんんっ!」 尾てい骨の辺りから、背骨を伝い脳まで快感が突き抜ける。 案ずるより産むが易し。一回できてしまえば、あとは勝手に身体が動いた。 「あんっ、あんっ、ああ!気持ちいい!尚親くんの、気持ちいい!」 当初の“尚親くんを気持ち良くさせるため”という目的をすっかり忘れ、自分の快感を求めて夢中で腰を動かした。 自分の動きに合わせて聞こえる水音や、肌同士がぶつかる音が響き、尚更気持ちが高揚した。 「おいおい、できないとか言っておいて、俺のナニでオナニーぶちかましてるじゃねえか」  尚親くんの揶揄する声が、いつもより掠れていて艶がある。俺で、感じてくれている。その事実が頭を少し冷やしてくれた。  自分の気持ちいいところを擦りながら、締め付けに緩急をつけ、尚親くんの様子を伺いながら腰を動かした。毎回後ろから一方的に突かれるだけだったことを考えると、上に乗って自分から動いているということで、主導権を握ったような感覚に陥る。 「ねぇ、尚親くん。気持ちいい?」  そう聞いた瞬間、腰の上に乗っている俺を楽しそうに見ていた尚親くんの目の鋭くとがった。しまった。これは、やってしまったかもしれない。 「てめぇ、ちょっと自分で動けたからって、調子に乗ってんじゃねえぞ!」

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