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第14話 誰でもいい訳じゃない7(坂城恭治)
お姫様抱っこで運ばれた先は二階の俺の部屋のベッドの上。優しく降ろされたかと思うと、恭にいが上に覆い被さって通せんぼ。
「待って、シャワー!シャワー浴びたい」
保健室で目覚めた時、ある程度身体はキレイになっていた。考えられないことだが、あの尚親くんが後処理をしてくれたらしい。今日一日、意外なことが多すぎてキャパオーバー気味だ。
とはいえ、このまま恭にいと致すのも気が引けてしまう。せめて、シャワーだけでも浴びさせてほしかった。
「ああ、お前夕方は西とヤってたんだっけ」
急に冷めたような恭にいの声にヒヤリと心が冷たくなる。そんな俺の気持ちを汲み取ってか、わしゃわしゃと頭を撫でながら「さっぱりしてこい!心身ともにな」と送り出してくれた。
風呂場がある一階に降りると、玄関に放置されている俺の鞄とくしゃくしゃになった白いシャツ。クリーニングに出すとして、さすがに精液まみれにしたまま出せるわけもあるまい。シャツだけ手に取ると、風呂場に向かう。
脱衣所にある洗濯機に尚親くんのシャツを入れて、隠すように蓋を閉める。母さんが夜勤でばあちゃんもいないとなると、明日の朝この洗濯機を回すのは俺だ。バレることもないだろう。
シャワーを浴びるが、案の定大体の処理はされており汗を流す程度で済んだ。
「いたっ……しみるぅ」
尚親くんの凶暴な息子を受け入れたアナルより、噛みつかれた内股の傷が痛い。恥ずかしい格好とは承知しつつ自分の股を覗くと、そこは赤黒くアザになり犬歯が刺さったのか小さくぷっくりと腫れている箇所もある。
「こんなの怪我じゃん。障害事件だ」
恭にいがこれを見たらどうするだろうか。保健医らしく手当てしてくれるかな。キレるかな。もしかして、尚親くんみたいに上書きしようとするとか?
色々妄想しながら風呂をあがり身体を拭きながら、自分の失態に気付いた。
「着替え、持ってきてないじゃん!」
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