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第16話 誰でもいい訳じゃない9(坂城恭治)

 指で刺激されていたからか、やたらと感じる。ねっとりと舐めあげられ、舌の先で乳首の先端をほじるようにつつかれたり、思いきりじゅるじゅる音を立てて吸われたり。先ほどからお預けをくらっている俺の息子がかわいそうで、自分で慰めてやろうと両手を伸ばす。が、両手とも目ざとく見つかってしまい恭にいに阻止されてしまう。  恋人繋ぎのように指を絡めると、俺の顔の横に縫い止められる。 「何自分で弄ろうとしてんだ。俺が気持ちよくしてやってるだろ?」  俺の乳首を咥えたまましゃべるものだから、吐息がくすぐったくてぶるりと身体を揺らしてしまう。身を捩りたいが意外にも強く繋ぎ止められているので、なかなか自由が効かない。軽い拘束プレイみたいだ。 「だって!恭にい乳首ばっかじゃん!」 「気持ちいいだろ?」 「気持ちいいけど!」  こっちも気持ちよくなりたい。と、蚊の鳴くような声でつぶやくが、恭にいはにやにやしながらまた乳首への愛撫を再開する。しかも、しゃべりながら、だ。  別に今に始まった訳じゃないし、普段からいじわるだから慣れてるっちゃ慣れているのだけれど、今日の焦らしは特にしつこい。 「こっちって?どこのこと?ちゃんと言って」 「いじわる……。こっちは、こっち!下の方!」 「下の方に、何があるの?」 「最悪!変態!」  エロオヤジめ!身内だとしても酷すぎる!  俺の口から言わせて、ねだらせたいのだ。昔の素直な俺は、ちょっとでも焦らされれば、すぐに「お願い、お願い」と懇願していたが、そうは問屋が卸さない!俺も高校生になって、ちょっとは経験を積んだのだ。 「じゃあ、このままこの可愛い乳首を可愛がるとするか」  有言実行とばかりに、再び反対の乳首にかぶり付き、今度は甘噛み攻撃が始まった。  甘噛みっていっても、絶対かさぶたになるやつ!痛痒くなって、2、3日絆創膏貼らなきゃいけなくなるやつ! 「……ちんこ」  負けを認めるのがいやで、さっきより小さい声でつぶやくが、恭にいにはちゃんと聞こえたようで、乳首に歯を立てたまま視線だけ俺に向けると、にやりと笑った。笑ったせいで必然的に強く歯が食い込み、短い悲鳴をあげてしまったのは仕方がないことだ。 「おっと、ごめん、ごめん。で、何て?」  くそ!絶対聞こえてたくせに!ヤケになって、俺は叫ぶように……、いや、叫んだ。 「ちんこさわって!」  高校生になっても、ちょっとばかり経験を積んでも、ずっと調教されてきた身体は調教師には従順になってしまうものらしい。

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