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邂逅―2―

「おじさんっ!!」 俺は子供の頃のようにその人の胸に飛び込んだ。 「本当に……ユーイチか?」 「おじさんっ!俺……俺ずっと会いたかった!」 ずっと、ずっと会いたかった人が目の前にいる。 会ったらどんな事を話そうとかいろいろ考えていたのに、そんなの全部吹っ飛んで……って、待ったぁ!! 「おじさん何でここにいんのっ!?」 「ユーイチこそ何でここに……しかもその木は……」 ……………おじさん、今なんて言った? そのき? その気? その木? ………木っ!? 俺は頭の上に手をあげた。 木がいる――――っ!! ―――――――――――――――――――― 「サクラ様…ご機嫌を直して出てきてください」 「ユーイチ、気に障る事を言ったなら謝るから出てこい」 サクラ様、サクラ様、サクラ様………… みんなが俺を呼んでいるが、出ていく事など出来ない。 俺はいま天岩戸よろしく、岩陰に引きこもっている。 おじさん……ユミルという名前らしい……に言われるまで気がつかなかったが、俺の頭の上にはしっかりと木がはえたままだった。 だっていろいろあったし、誰もふれてこないし、俺自身何も感じないし、鏡ないし……忘れてたって仕方ないじゃん……。 しかも何故かみんなにも見えてるっぽいし……みんな『頭に木が乗ってますよ』って指摘してくれたらわかるのに………。 エロ親父達におおたちまわりして、ちょっとドヤ顔な時も、世界樹の姿を見て沈痛な面持ちだったときも、熊みたいなバケモノに喰われかけていたときも、ずっと頭の上に木が乗っかってたのか。 恥ずかしい……恥ずかしすぎる!! 穴があったら入りたい。 さっき反省したばかりだけど、今なら恥ずかしさで死ねそう。 「ユーイチ…………」 ユミルさんが俺の背後に近づいてきた。 閉じ籠っていると言っても、岩陰に隠れていただけなのですぐに傍にこれる……一人にしてくれていたのは皆の優しさだ。 「こんな頭の上に木を乗せたおかしな格好で皆の前で普通にしてたとか、恥ずかしすぎて……気づいちゃったらもう皆の前に行けな……っ!?」 力強い手に体を反転させられて、脇の下を抱えられ持ち上げられた。 いわゆる『たかい、たか~い』状態だけど、昔は良くやってくれたけど、俺はもう大人で少し恐いし、かなり恥ずかしい。 「おじ……ユミルさん!降ろして、恐いし」 足をジタバタさせて抗議すると、今度は縦抱きに抱っこされて完全に子供扱いだ。 ユミルさんの中で、俺は子供の時ままで止まっているのか? 「ユーイチ、こんなに立派な木なのに、何を恥じることがある」 ユミルさんの男らしい精悍な顔に見つめられて、思わずポーッと見とれてしまうが……いやいや!普通頭の上に木がはえてたら恥じるでしょう!! 「ユーイチのように、優しくて可愛らしい木だ」 ユミルさんはそっと頭の上の木に口付けをしてくれた。 ボンッと顔が真っ赤に染まったのがわかる。 「ははっ!照れてるのか?可愛らしい花が咲いたぞ」 ユミルさんは俺の頭の上の木が咲かせたらしい花を一輪取って俺に見せてくれたあと、花に口付けをすると俺の目の前で花をパクリと食べて、ニカリと笑う。 「ふふ……甘いな…」 いっ! い~や~っ!! 何なの?俺を噴死させる気なの!? その時、洞窟内に轟音が響き壁の一部が崩れ落ちた。 穴の開いた壁の前でリヒトが 「人数も増えたし女性もいるし、個室が必要かな?っと思いまして」 と、にっこり笑った。

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