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萌ゆる森―2―

「魔力は規格外だから心配しなくて良い」 ユミルさんがそう言うので、心配せずにボンヤリしてます。 リヒトはこの世界の常識に当てはめても規格外なのか。 マーニャさんは戦闘は苦手だっていってたけど生活魔法はプロフェッショナルだし、ユミルさんも防御系の魔法は一流で力仕事ならお任せだし、頼りになるし……。 「サクラ様、お隣宜しいですか?」 俺が頷くとリナーシア様は俺の隣に腰をおろした。 「世界樹様の気配を全く感じませんね。本当に逝ってしまわれたのですね……」 「リナーシア様……」 リナーシア様はよしっ!と拳を握ると、 「サクラ様!国を追われ世界樹様もいなくなった今、私は姫でも聖女でもありません!リナとお呼び下さい!」 「リナ?」 俺が呼ぶと照れたように笑って、 「仲の良い者同士が愛称で呼び合うのに憧れていました。誰も私の事をそう呼んでくれる者はいませんでしたから……それに……世界樹様の力が使えない私は何の力もありません。なのに様をつけられるのは、何というか……」 「わかる……俺も何も出来ないもん。申し訳ないし、いたたまれない。リナも俺の事、様つけるの止めてくれる?」 「え……それは……サクラ様は世界樹様と同様の加護をもっていらっしゃいますし……」 目線が上を見ている。 確かにこの木は凄いらしいけど……。 「俺の意思で使えない力なら無いのと一緒ですよ……リナーシア様」 その後、押し問答の末『リナ』『サクラさん』で落ち着いた。 俺とリナで結んだ【常人同盟】だったが直ぐに終わりを迎えることになるのを俺はまだ知るよしもなかった。 リナは俺の事をこれだけ癒してくれてるんだから……もっと自信を持って欲しいなぁ。 頭の木がサワサワ揺れて、風?と入口を見るとリヒトが飛び込んできた。 「サクラに是非見ていただきたいものがあります!!」 いつも以上にキラキラした王子スマイルにたじろぐ。 担ぎ上げてでもと言った勢いなので、ユミルさん同伴でついて行った。 「リヒト……ここってまさか……」 「はい。サクラと初めて口づけを交わした場所です」 みぞおちに一発入れたが、全然効いてない。 こっちに来た時、おっさんと騎士っぽいのは吹っ飛んだのに……リヒトはやっぱり超人なようだ。くそっ! 「……ユミルさんもいるのに……」 少し離れた場所にいたユミルさんは聞こえなかったのか、気にした風は無い。 しかし俺は目の前の光景を見ていられなくて顔を手で覆った。

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