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萌ゆる森―4―

「……レ……モン。イチ、ゴ?」 収穫物を見るなりリナが名前を言い当てた。 「リナ、知ってるの?」 「文字が浮かんで見えます。えっと【食用可:爽やかな香りと強い酸味が特徴】」 文字が浮かんで見えるって……それって……漫画とか小説で良く聞く『鑑定スキル』ってヤツじゃ……。 「サクラさんとお話しした後から意識すると、いろいろな情報が見えるようになって」 同盟は破られた……。 チートスキルって異世界転移のオマケじゃないの?俺以外がチートって……どうして……俺には力をくれないくせに……。 頭の上の木を擦った。 マーニャさんと楽しそうに特徴や調理法など話しているリナは生き生きしていて。 自分の仕事を見つけて存在価値を見出だしたみたいで……羨ましく思う。 でも、リナが笑顔でいられるなら良いか。 ユミルさんと話していたマーニャさんの目が光り、先ほどの大蛇を見て笑ってる。 俺は逃げるように洞窟の奥へ移動した。 解体シーンなんて見たらどう頑張っても食べられなくなる。 俺、一人何も出来ることがないとふて寝しようとしたら、先客がいた。 リナが毛皮を手に何やら思案している。 「リナ?何してるの?」 「あ、すみません。この力が面白くていろいろ見て回ってました……」 新しい玩具を買って貰った子供みたいだ。 恥ずかしそうに俺の寝ていた毛皮を抱いてもじもじされると、違うとわかっていても、もしかして……期待する男心。 「先程マーニャにも試して見たのですが、サクラさんのステータスも見て良いですか?」 なんか人に自分の情報を文字で見られるって恥ずかしいんだけど、期待に目を輝かせる、リナのお願いを断れるはずもなく……。 「……ど、どうかな?変なこと書いてない?」 何を暴かれるのかビクビクしても仕方ないことだよね。 恐ろしいスキルだ。 「あ……サクラさん、本当に30歳だったのですね……」 疑ってたのかよ。 「何でしょう?30の横にカッコして12とついています」 「へ?どういう事?」 「わかりません。マーニャにはこんな事、書いてなかったですし……もう少し深く読んでも大丈夫ですか?」 深くとか、浅くとかよくわかんないけど、ちゃんと許可を得るリナは本当に良い子だよ。 「あら……ふふふっ。お兄様はどうするおつもりかしら」 謎なんだけど……何故ここでリヒトが出てきた? 「ちょっと待って!何?何が書かれてたの?」 「大事な事なので、皆が揃ってる時にお話し致しますね」 ちょっと!なんなの!?怖いんだけど!!

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