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萌ゆる森―5―
俺はリナが口を開く度にビクビクしていた。
自分の知らない自分の秘密……早く知りたいような……知りたくないような。
お昼は外でというマーニャさんに従い、外に出ると、洞窟の入口近くまで生えていた木が伐採され、ちょっとした広場になっていた。
その中央に石で出来た、テーブルのようなものが設置されている。
「今日のお昼は、レッドキャスクベアーの肉を焼いて食べようかと思ったのですが、煙が出るので、リヒト様とユミル様に外に竈を作って頂いたのですよ」
石の板の下に薪をくべて、リヒトが魔法で火を着けた。
リヒトは着火剤にもなるんだね。
便利だなぁ。
石が熱せられた頃、マーニャさんが一口大に切ったお肉を並べていく。
ジュージューと音を立てて焼かれる肉の発する匂いにつられてお腹がなる。
匂いはちゃんと焼き肉だ。
「外でこんな匂い出しても大丈夫?」
変な魔獣とかよって来ないかなぁ?
辺りを見回していると、ユミルさんに頭をポンポン叩かれた。
「今度はちゃんと防御壁張ったから大丈夫だ。飯に集中して良いぞ」
岩塩を削った塩をかけて、マーニャさんが焼けたお肉を渡してくれた。
また、俺が最初に食べるのか……段々慣れてきたけれど……皆の視線のなか、お肉を口に運んだ。
「うわあ!美味しい~!!」
肉の味に慣れてきたのか、塩のおかげか、本当に美味しかった。
弾力があるけど、噛みきれない事はなく、脂がのっている部位だからか、甘味もあった。
「私が調理するのですから当然です。サクラ様には安全で美味しいものを提供致しますわ」
得意気なマーニャさんがなんだか可愛い。
「そうだ、レモンあったよね。かけても良い?」
マーニャさんにレモンを小さくカットしてもらって、焼いた肉にかける。
皆レモンは初めてだからか、興味深く見てくる。
いつもは俺が毒味のように一番に食べるので今回は……。
「ユミルさん、あ~んして?」
ふふっこの間の仕返しだ。
ユミルさんは豆鉄砲をくらった様な顔をしながらも食べてくれた。
「お!これは旨いな。酸味が口の中をさっぱりさせていくらでも食べれそうだ」
「レモンとはこういう使い方をするのですね。香りも良いから食べやすくなりますね」
マーニャさんとリナは他にどんな料理にあうか思案しあっていた。
「うわぁっ!」
後ろから抱き上げられて、気付けば、リヒトの膝の上にいた。
「ユミルばかり狡いです。俺にもサクラの手で食べさせてくれますか?」
バカップルか!!
降りようにも腕が俺の腰をがっつり拘束している。
食べさせれば離してもらえるかと、しぶしぶ差し出すが、ユミルさんの時は気にならなかったのに、リヒト食べ方エロい!!
「美味しいですね。ふふふっ。サクラ、そんな顔をされたらサクラまで食べてしまいそうだ」
そっ……そ、そんな顔ってどんな!?
リヒトの顔が近づいてくる……。
「コホン。お兄様、サクラさんの事で大事な話があります」
ついに来た!!
リナ良いタイミングだ!!
リヒトは目に見えてムッとしたが、俺の事ということで、おとなしく聞く気になってくれた。用心に越したことはないので、俺は定位置、ユミルさんの隣に座った。
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