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銷魂の王子―5―
この日の俺達の戦果は、大量のキノコ。
マーニャさんが木の皮で編んでくれた籠いっぱいのそれはリナに鑑定してもらうことにした。
昼ご飯はルマンダスネークの肉団子スープ。
俺が食べやすい様に手をかけてくれる、マーニャさんの気遣いがありがたい。
プリプリと弾力のある肉団子とだしの出たスープは美味しかったけれど、まだ戻って来ていない、空いたリヒトとリナの定位置を見て少し味がぼやけた。
午後は畑を見に来てみた。
思っていた通り、畑に変化はない。
「変化無いみたいだな」
「うん。駄目みたい。本当に僕には力を貸してくれないよね。リナにはあんなスキル渡しといてさ」
「ん?オクスダートとドルトフの奴をのしたんだろ?ドルトフは第一騎士団の団長だぞ?十分力を貰ってるじゃないか」
あのおっさん、そんなに強かったのか。
「でも、レッドキャスクベアーの時は力を貸してくれなかったよ?」
「お前はその時、レッドキャスクベアーを倒したいと思ったのか?」
「えっと…俺が食われてる間にマーニャさんたちが逃げてくれればいいなって思ってた」
盛大にため息を吐かれた。
「お前は本当に……わかった。要はお前の心もち次第って事だ。お前が戦おうという気があれば力を与えてくれるんだろうな」
う~ん。
でも平和な日本で育った俺が、そこまで好戦的に考えれるかなぁ?
唸る俺の肩をユミルさんがそっと押した。
背中にあたる土の感触。
ユミルさんに押し倒されてる?
………何で?
「リヒトとのキスは甘酸っぱかったのか……?俺とのキスで何が出来るのか……試してみるか?」
「は……?なに………」
ユミルさんの顔が近づいてくる。
「や……やだ……冗談キツイよ…」
ユミルさんの口を押さえた手を捕まえられ、手のひらにキスをされる。
「冗談じゃない。あの時はガキだと思っていたが……今はもう大人だろ?」
いつになく真剣な目に体が強ばった。
ユミルさんの大きな手に拘束されて、12歳の体ではたいした抵抗も出来ぬまま……唇を重ねられた。
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