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既視感―2―
辺りが明るくなってきて、ふわふわと覚醒してきた。
俺の体を抱き込む馴染みある腕の重みと、隣にいる気配に
「おはよう」
ぼんやりした視界で頬にキスをした。
突如に目が覚めた。
リヒトじゃない!!
「だ……誰!?」
「ん~」
目を擦りながら体をおこす黒髪の……イケメンだ。
なっ!何故、裸!?
俺と目が合うと嬉しそうに微笑んで、
「母上…おはよう」
と、キスをしてきた。
「う…ぎゃあぁぁっっ!!!!」
俺の悲鳴で一番部屋の近いリヒトが飛び込んできた。
「リヒト………」
「あ、父上もおはようございます。母上、駄目ですよ。朝から大きな声をだしては……」
のし掛かられて、支えきれずに後ろに倒れる。
「母上って……モユル?」
「なに?あれ?母上小さくなりました?」
裸のモユルらしきイケメンに抱き締められて軽くパニックになる。
「あわわ………リ…リヒトぉ…」
「母上?」
モユル(仮)の顔が近づいてくる。
「モユル、そこまでだ。取り合えず服を着なさい。リナーシア、マーニャ。俺とサクラの服を1着ずつ持ってきてくれ」
俺とモユルの間にリヒトが入ってきた。
いつの間にか、みな集まって来ている。
「お~でかくなったなぁ、モユル」
「へ?何で服きてない……?あれ?体、大きい」
モユルは、やっと自分の異変に気づいたのか、自分の体を確認している。
マーニャさんから服を受けとり、モユルに着せてみると俺の服では小さく、リヒトの服では少し大きかった。
マーニャさんにリサイズしてもらい、全裸はなんとか回避した。
――――――――――――――――――――
「いや~中々男前になったじゃないか!」
ユミルさんはモユルの髪をかき混ぜながら笑っている。
「サクラを男にした感じですかね?」
「俺、生まれてこのかた、ずっと男だから」
笑うリヒトを睨み付けると、冗談ですよ。と笑って抱きついてきた。
「おいくつぐらいなのでしょうね?モユルの事は私の鑑定でも見えなくて………」
リナはしげしげとモユルを観察してる。
マーニャさんは、言った通りでしょ?と言わんばかりのドヤ顔。
「何で皆、そんなに落ち着いてるの?急にこんなに大きくなったんだよ?」
「モユルは産まれた時もそうでしたから」
「2年くらい前に、あの姿で産まれてきたんですよ」
「朝起きたらリヒトが、ユーイチそっくりなまっぱな子供を抱いて寝てたから、ついに道を間違えたかと殴っちまったっけなぁ」
「あの時のお兄さまの慌てっぷりときたら……結局、力の種が無くなっていたからモユルだろうってことになったんですよね」
「産まれたばかりのモユル様はサクラ様そのものでしたから……」
皆で懐かしいと笑っている。
そうだった……この人達能天気……超プラス思考だった。
「……………………」
先程から俯いて何もしゃべらないモユル。
いきなりこんな姿になって戸惑うのは当たり前だろう。
「モユル………」
モユルの肩に手を乗せて、何と宥めようか考えていたのに、
「……大きくなったって事はリナと結婚出来るって事ですよね!?」
キラキラした目で顔をあげて、リナの前で片膝をついた。
リナの手をとると、手の甲に口付けをすると
「リナ、貴女を私に守らせて下さい」
いきなりプロポーズを始めた。
髪や目の色など見た目は俺よりかも知れないが、中身はまるっきり……リヒトだ!!
いきなりプロポーズをするモユルに、皆は大きくなったとたん気が早いなぁと笑っていた。
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