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反撃失敗

モユルは山の様に積み上がった、魔獣達の上に座って自分の手のひらを見つめていた。 俺達の姿に気が付くと、飛び降りて駆け寄ってくる。 「母上!あんなにコックコックが苦手とは……びっくりしました」 俺を抱き上げて笑っている。 この国の人達は、人を抱き上げるのが好きだな……。 「心配かけてごめんね。しかし……凄い数だね?二人で狩ったの?」 「殆んどモユルだ。言っただろう?モユルが神掛かってたって」 ユミルさんのニヤニヤ顔に蹴りをいれる。 モユルは自慢気な顔をしながら、 「いきなり力が湧いてきて……母上が目覚められたんだなと……大丈夫そうだとすぐにわかりましたよ」 責めるでも、揶揄うでもないモユルの言い方に、いたたまれなくなり顔を手で覆った。 「今日は俺が運びます」 そう言うとモユルは、リヒトがやっていた様に風を起こし、魔獣の山を浮かべて移動を始める。 注意深く魔獣の山を見てみたが、あの巨大ゴキの姿はなさそうで、胸を撫で下ろした。 「ファグラダック!!今日はご馳走ですね!!」 魔獣達の中からあの丸々した鳥を見つけてマーニャさんは目をキラキラさせて、はしゃいでいる。 ユミルさんがマーニャさんの好物だと言っていたけど、本当に好きなんだな。 「ユミルさんって……マーニャさんの事……よく見てますよね……」 結構、息も合ってるし……。 「ないからな!?他に誰もいなくてもコイツだけは無いから!!」 「絶対にありえません!!ユミル様が相手にするのはサクラ様でなくては!!!」 何も言ってないのに2人で即座に大声で否定を始める。 これは、いつもからかわれているのをやり返すチャンスでは……。 「そんなムキになって余計、怪しい……実は……ふふ」 ここが攻め時とニヤリと2人を見ると……。 「マーニャ……入り口見張っとけ……」 「そうですね……本命はリヒト×サクラですが寝取られというのも……美味しいですね」 2人の目が怪しく光って俺を見下ろす。 「2人の邪魔はしたくないが……お前の事を好きだと言ったと思うんだがなぁ……俺だって人並みに傷つくんだよな……」 ユミルさんの腕が結構な力で、俺の両腕をガシッと掴む。 「え……あの……冗談……です……ごめんなさい……」 ―――――――――――――――――――――― 「サクラ?疲れた顔してどうしたんですか?」 「な……!!何でも無い!!今日の夕飯も美味しそうだね!」 「ユミルとマーニャは妙に嬉しそうだな」 「あぁ、さっきユーイ……「あ!リヒト!!これスゴく美味しいよ?はい、あ~ん」 無理やり怪訝な顔をするリヒトの口にファグラダックのレバーのソテーを押し込める。 浮気はしてないから! 浮気はしてないからこれ以上は聞かないで!! リヒトに喋る隙を与えずドンドン口に押し込む。 そんな俺をユミルさんとマーニャさんは楽しげにずっと見つめていた。

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