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第26話

湊side みんなが捜索してくれている間、湊は病室内をウロウロしていた。 そんな俺の様子を見て先輩が声をかけてきた。 「湊、心配なのも不安なのも分かるけど、ちょっと落ち着け。大丈夫だよ。絶対見つかるって。」 先輩が大丈夫だと言ってくれても、やっぱり不安が消えることはない。 そもそも病院内にいるのかさえ定かではないのだ。 いつからいなくなったのかがわからない以上、どこにいるかなど分かるはずがなかった。 (俺のせいだ。俺が一緒にいてやればよかったんだ。) 侑舞が体調を崩すたびに申し訳なさそうにしていることには気づいていた。 幼い頃から誰かに迷惑をかけることを嫌い、自分に対する評価も低い。 何かあるとすぐ自分のせいだと思い込むところが侑舞にはあった。 特に父さんが死んでからはそれに拍車がかかっていた。 体調が悪くても少しのことなら隠すようになったし (まぁ俺は気づいているけど) とにかく俺に迷惑をかけまいとしていた。 そんな侑舞にあえて何も言わず、いい距離感を保ちながら接してきた。 湊は、深く心に入り込めば侑舞はきっと自分を追い詰めてしまって俺と関わらないという選択をするだろうと危惧していたのだ。 何かあったときに何もできないほうがまずいから、侑舞が自分から離れてしまわないようにと、あえて何も言ってこなかったが、結局何もしてあげられていない自分に腹が立つし情けなかった。 (俺はただ逃げていただけなのかも。) いまさら何を言っても起きてしまった事実が変わることはない。 今の俺には、どうか無事であってくれと願うことしかできなかった。

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