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第32話
湊は2人が乗った車が見えなくなるまで見送ってから侑舞の病室へと戻った。
病室のベッドの上には、未だに目を覚ます気配がない自分の弟が眠っていた。
湊は弟の眠るベッド横の椅子に座り、時折苦しそうに顔を歪める弟の頭を撫で続けた。
(ねぇ侑舞、侑舞はどうして死のうとしたの?俺がちゃんと向き合っていたらこんなことにはならなかったの?)
返ってくるはずもないのに、侑舞にしか分からないその答えを問いかけ続けた。
そんな湊に声をかけたのは和田だった。
ふと時計に視線をやると時刻は19時を超えていた。
(あんまり気にしていなかったけど、そう言われてみるとお腹空いたかも。)
「先生が迷惑じゃなければ、ご一緒させてください。」
侑舞のことを一人にしたくない気持ちもあったが、折角なので和田の誘いに乗ることにした。
「迷惑じゃないよ!じゃあ行こうか!」
なぜかテンションが高い和田に連れられて食堂へと向かった。
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