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第34話
「今回の件、湊君のせいではないからね。」
ご飯を食べながら世間話をしていた途中で真剣な顔で和田先生はそう言ってきた。
碧海から発見した時の状況を病室にいた全員が聞いた。
その内容に誰しもが愕然とした。
「本当にそうでしょうか。」
今回の自殺未遂の件は、自分のせいではないと湊は言い切れなかった。
4年前の件は父の死が理由だったが、今回の件に関しては、自分が侑舞とちゃんと向き合っていれば防げた可能性が高い。
侑舞の心の弱さに気づいていながら、見て見ぬふりをしてきた自分に責任がないとは言えない。
侑舞のためだと自分に言い聞かせ、4年前のあの日から俺はずっと逃げていたのだ。
「湊君は自分のせいだと思うような理由があるのかな?」
「俺は侑舞が俺に迷惑をかけないようにしていたことに気づいてたんです。気づいていながら侑舞のためって理由をつけて自分が傷つかないように逃げてたんです。」
湊はそう言うと俯いた。
「そっかー。うーん。何て言えばいいかなー」
「確かに湊君のしたことは酷いことなのかもしれない。」
(やっぱそうだよな……。俺がしてきたことは許されることじゃない。)
「ま、それはあくまでも世間一般的な話。ここからは俺の独り言だから。」
そう言って和田は話だした。
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