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第38話

「4年前の件は話したわよね?」 「はい。海の件ですよね?」 「そう、それ。あの子は幼いころから自尊心がとても低いし、自分を責めすぎる傾向が強かった。海の件もそうだったのよ。自分のせいなんだ、自分がいなかったらお父さんは死ななかったんだってね。」 「そうだったんですか……」 和田は海の件に関して、そういうことがあったという話しか聞いていなかったため、その内容を聞きあることに気づいた。 湊がさっき言っていたことに似ているなと。 どうやらあの兄弟は考えがとても似ているみたいだ。 「今回のは湊君に対する思いだったんじゃないかな。4年前のあの当時から、入院するたびに兄さんにまた迷惑かけちゃうってよく言っていたしね。」 「そうだったんですか…」 「湊君はさ、お父さんが亡くなってからアルバイトを増やしたりして、とにかく侑舞くんが不自由ないようにって頑張っていたからね。そんな湊君を見ていた侑舞くんは、自分が湊君を縛ってる、自分が湊君の自由を奪ってしまっているとでも思ってたんじゃないかなぁ?それが今回爆発して、その結果が自殺未遂。」 「あり得ますね。」 「ま、本人に聞かなきゃ本当のところは分からないけどね。」 ここは和田ちゃんの腕の見せ所よ!と言い姫宮は笑っていた。

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