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第42話
和田side
当直室からのんびりと歩き、遠回りをしたりしながら時間をかけて病室にやってきた。
病室に着いて中を覗くと、湊が椅子に座ったまま侑舞に覆い被さるようにして眠っていた。
さすがにその体制では体が痛くなるだろうからと、湊のために用意してあったベッドへ移そうと思い、近づいて和田はやめた。
湊の手と侑舞の手が繋がれていたからだ。
動かしたら2人とも起きてしまうかもしれないと思い、和田は湊に毛布だけかけると、侑舞の容態が安定していることを確認し、病室を後にした。
当局室に戻りながら和田は姫宮に電話して良かったな、と思っていた。
やはり心のどこかで不安に思っていた部分があった。
自分はこの子たちのことを救ってあげられるのかと。
湊に言ったことは正しかったのかと。
でも姫宮と話したことであの日の気持ちを思い出した。
(気負う必要はない。自分に出来ることを探して実行するだけだ。)
和田の顔から迷いはもう消えていた。
電話をしたことでいい話も聞けた。
そう遠くないうちに姫宮が戻ってくると言う話だ。
正直心強いし、何より尊敬してる医師とまた一緒に働けるということが嬉しくて仕方なかった。
「2年ぶりかぁ~!会えるの楽しみだな。侑舞くんも喜ぶだろうな。」
侑舞の当時の姫宮への懐きようは凄かった。
他の医師には全然聞かれても答えないのに姫宮にだけは渋々でも答えていたし、笑顔も見せていた。
今でこそ俺にも普通に接してくれるが、担当になったばかりの頃は警戒されまくって会話もままならなかった。
それでも諦めずに頑張った結果、普通に接してもらえるレベルまでたどり着いたのだ。
当時のことを思い出し懐かしさに浸ったところで、またあの頃みたいに地道に頑張ろうと気合を入れたのだった。
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