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第43話
姫宮side
今日は休みだったのだが、どうしてもやらなければならない仕事があり、勤務先の病院に来ていた。
もうすぐ日本に帰るので、そこまでに終わらせなければならないのだ。
仕事と言っても書類の処理だけなので、さっさと終わらせて帰ってしまおうと作業に取り掛かったとき、滅多に鳴らない私用の携帯に着信があった。
相手の名前を見たとき少し嫌な予感がした。
その相手とは、基本1ヶ月に1回連絡をとりあう程度で、先週連絡をとったばかりだったのだ。
だが、出ないわけにもいかないので、ひとつ息を吐きだしてから電話に応じた。
「もしもしーー」
電話の相手は日本にいた頃に関わりがあった侑舞の担当医である和田。
和田と暫く雑談を交えて笑いあった後、私も病院にいる以上呼び出しがないとは言えないので本題へと移った。
和田の口から伝えられた内容に、つい溜息を吐きそうになった。
最近は話題に上がっていなかったが、和田がわざわざ連絡をしてきた理由はあの子関連だろうとは思っていたものの、実際にそれが当たってしまうとなんとも言えない気分だった。
(やはりあの時はまだ離れるべきじゃなかったか……)
父の死から2年が経ち、カウンセリングの甲斐もあって精神状態は改善されつつあった。
それに自分を責めがちだった性格も少しは改善傾向にあった。
その様子から姫宮は渡米へと踏み切ったのだ。
(自殺未遂。また振り出しに戻ったか。)
正直言って、カウンセリングを続けていなかったことが誤算だった。
もっと言えば病院に訪れる頻度の減少もだ。
病院に頻繁に行ってさえいれば、他の医師は無理でも担当医である和田には、異変に気付くことが可能だったはずだ。
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