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第47話

ナースコールを押してしばらくすると、焦ったように和田がやってきた。 「湊君どうかした???って侑舞くんが起きてる!!!」 入ってきて早々に、侑舞の目が覚めていることに気づき、目を見開いて驚いていた。 そんな和田の様子に失礼ではあるが、侑舞は少し引き気味だった。 「驚きすぎですよ。あと先生も声大きすぎです。ここ病院。」 侑舞に注意され和田は苦笑した。 「いやー、目が覚めてると思わなくてつい。でも目が覚めてよかった!!本当に心配したんだよ~?」 和田はそう言うと侑舞の髪の毛をぐしゃぐしゃにしてきた。 しばらくそうしていると満足したのか、侑舞から離れ、体温計をとってくると「熱測って~」と渡してきた。 測ってみたら38.5でまだまだ高かった。 熱を測ってる間に食事を頼んでくれていたらしく、持ってきてくれたのはいいが、昨日も食べていないのに食欲が全く湧かないどころか、匂いだけで吐き気を催したので断った。 ふと兄さんの方を見ると、兄さんが和田先生に何か耳打ちされていたが、首を横に振っていた。 2人のそんな様子に侑舞は首を傾げた。 湊の反応を見てから何度か頷き、こちらを振り返ると、食事がとれないみたいだから点滴で補うからね~!と言って点滴を取りに病室を出て行った。 身体がまだ怠くて眠りたかったが、和田が戻ってくるまでは起きていようと、目を擦りながら頑張っていた。 そんな侑舞を見て、湊は柔らかい笑みを浮かべて、きつかったら寝てていいよと言ってくれた。 その言葉を聞き侑舞はプツンっと糸が切れたかのように眠りに落ちた。 眠りに落ちた侑舞に布団を掛けなおしてやり、その顔を見て湊は優しく微笑んでいた。

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